[0001]本発明は防水層を有する金属屋根と、金属屋根に防水層を形成する施工方法とに関する。
[0002]金属屋根に防水層を形成する場合、図3のように、金属屋根本体1の上に発泡ウレタン等よりなる断熱層2をフォーム吹付けにより形成し、その上に防水性コート層3を吹付けにより形成し、その上に保護用トップ層4を吹付けにより形成し、防水層5を形成する(例えば特許文献1)。図3では、金属屋根本体1は複数の山部1aと谷部1bとが傾斜壁部1cを介して連続した波板状となっており、山部1aの頂面は平坦面となっている。
[0003]図4の金属屋根本体10では、山部1aから突起部(ハゼ部(馳部))1dが上方に突設されている。突起部1dは、図5のように、隣接する折版単体1A,1Bの側辺縁のハゼ片1e,1fを嵌合させたものである(例えば特許文献2)。
[0004]特開2008-69563号公報 特開2018-16855号公報
[0005]従来工法により形成された防水層(例えば図3の防水層5)は、金属屋根本体1の上面に全面的に密着している。
[0006]このような金属屋根にあっては、降雨、結露等によって水分が防水層5と金属屋根本体1,10との界面に入り込んだ場合、夏季などの高温期に水分が蒸発して膨張し、防水層5を金属屋根本体1,10から引き剥すように膨張し、膨れと称される膨張部分を生じさせることがある。
[0007]本発明は、かかる防水の膨れが防止される金属屋根と、そのための施工方法とを提供することを目的とする。
[0008]本発明は次を要旨とする。
[0009][1] 山部、谷部及び両者の間の傾斜壁部を有する金属屋根本体と、該金属屋根本体の上面に形成された防水層とを有する金属屋根において、該金属屋根本体の谷部と防水層との間に、該谷部に付着し、該防水層とは非付着となっている中間層が介在していることを特徴とする金属屋根。
[0010][2] 前記中間層は、前記谷部に貼着され、谷部の長手方向に延在するクラフトテープである[1]の金属屋根。
[0011][3] 前記金属屋根本体は、前記山部から立ち上がる突起部を有しており、 該突起部と該傾斜壁部の上部との間にシートが貼着され、該突起部、シート及び山部で囲まれたスペースが形成されており、 前記防水層は該シートの外面側に設けられていることを特徴とする[1]又は[2]の金属屋根。
[0012][4] 山部、谷部、両者の間の傾斜壁部、及び該山部から立ち上がる突起部を有する金属屋根本体と、該金属屋根本体の上面に形成された防水層と を有する金属屋根において、該突起部と該傾斜壁部の上部との間がシートで覆われ、該突起部、シート及び山部で囲まれたスペースが形成されており、前記防水層は該シートの外面側に設けられていることを特徴とする金属屋根。
[0013][5] 前記シートは合成樹脂または天然樹脂よりなる基材と、該基材に塗着された粘着剤とを有する[3]又は[4]の金属屋根。
[0014][6] 前記シートはブチルテープである[3]~[5]のいずれかの金属屋根。
[0015][7] 山部、谷部及び両者の間の傾斜壁部を有する金属屋根本体の上面に防水層を形成する金属屋根の防水施工方法において、該金属屋根本体の谷部の上面に、該谷部に付着し、該防水層とは非付着となる中間層を形成した後、前記防水層を形成することを特徴とする金属屋根。
[0016][8] 前記谷部に、谷部の長手方向に延在するようにクラフトテープを貼ることにより前記中間層を形成する[7]の金属屋根の防水施工方法。
[0017][9] 前記金属屋根本体は、前記山部から立ち上がる突起部を有しており、 該突起部と該傾斜壁部の上部との間をシートで覆い、該突起部、シート及び山部で囲まれたスペースが形成した後、前記防水層を形成することを特徴とする[7]又は[8]の金属屋根の防水施工方法。
[0018][10] 山部、谷部、両者の間の傾斜壁部、及び該山部から立ち上がる突起部を有する金属屋根本体の上面に防水層を形成する金属屋根の防水施工方法において、該突起部と該傾斜壁部の上部との間にシートを貼着し、該突起部、シート及び山部で囲まれたスペースを形成した後、前記防水層を形成することを特徴とする金属屋根の防水施工方法。
[0019][11] 前記シートは合成樹脂または天然樹脂よりなる基材と、該基材に塗着された粘着剤とを有する[9]又は[10]の金属屋根の防水施工方法。
[0020][12] 前記シートはブチルテープである[9]~[11]のいずれかの金属屋根の防水施工方法。
[0021]本発明の一態様の金属屋根にあっては、金属屋根本体の谷部の上面に形成されたクラフトテープ等よりなる中間層が形成されている。この中間層は、防水層と非付着となっている。そのため、谷部近傍において防水層と金属屋根本体との間に入り込んだ水が蒸発して水蒸気が生成した場合、この水蒸気や水蒸気を含んだ空気は中間層と防水層との間に入り込み、中間層に沿って広く拡散する。これにより、防水層の膨れが防止される。
[0022]本発明の別の一態様の金属屋根にあっては、金属屋根本体の突起部に沿ってスペースが形成される。そのため、山部近傍において防水層と金属屋根本体との間に入り込んだ水が蒸発して水蒸気が生成した場合、この水蒸気や水蒸気を含んだ空気は該スペースに入り込んで広く拡散する。これにより防水層の膨れが防止される。
[0023]本発明の金属屋根の防水施工方法によると、かかる金属屋根を容易に構成することができる。
[0024]実施の形態に係る金属屋根の防水施工方法を説明する断面図である。 図1(c)のII部分の拡大図である。 従来の金属屋根の構成図である。 金属屋根本体(ハゼ式屋根)の断面図である。 金属屋根本体(ハゼ式屋根)の断面拡大図である。 金属屋根本体(重ね式屋根)の断面図である。
[0025]以下、図1,2を参照して実施の形態について説明する。
[0026]図1(a)に示す金属屋根本体10の一例として、前記図4に金属屋根の一例を示す。前述の通り山部1a、谷部1b及び傾斜壁部1cを有している。また、山部1aから突起部1dが上方に起立している。なお、金属屋根本体10としては、図4に示すハゼ式屋根や図6に示す重ね式屋根に代表される金属屋根の他、波板屋根、瓦棒屋根等も含まれる。
[0027]図1(b)の通り、谷部1bの上面に谷部1bの長手方向(図1,2では紙面と垂直方向)に延在するようにクラフトテープ11を貼ることにより、防水層に対して非付着性の中間層を形成する。クラフトテープ11は市販品であり、クラフト紙よりなる基材テープの一方の面に粘着剤層が設けられ、他方の面に合成樹脂がラミネートされたものである。該粘着剤層を介してクラフトテープ11が谷部1bに付着される。
[0028]クラフトテープ11の幅W 1 は谷部1bの幅W 2 の3~95%特に25~85%程度が好適である。
[0029]また、この実施の形態では、突起部1dから、その左右両側の傾斜壁部1c,1cにまで達するようにシート12で覆う。
[0030]シート12は合成樹脂または天然樹脂からなる基材を有する。該基材としては押出成形、射出成形等により成形されたものや織布、不織布等に加工されたものを用いることができる。上記基材の一方の面に、さらに粘着剤を塗着させて突起部(突起部)を覆うように貼着することができる。また、シート12としては、あらかじめ粘着剤が塗着された市販品のテープを使用することもでき、例えば、ポリエステル不織布などよりなる合成繊維不織布製テープ基材の一方又は双方の面にブチルゴム系粘着剤が塗着されたブチルゴムテープ等を使用することができる。ブチルゴムテープは伸縮性及び通気性を有し、また、金属屋根本体への粘着力が高く、防水層との付着性も良好であり、しかも安価で耐久性も良好であり、好適である。
[0031]シート12の厚みは0.01~10mmであることが好ましく、より好ましくは0.1~5mmである。
[0032]シート12は、突起部1dの頂部から山部1aと傾斜壁部1cとの交差部を経て斜めに延在し、傾斜壁部1cの上部に貼着される。そのため、シート12と、突起部1dと、山部1a上面との間にスペースSが形成される。
[0033]このほか、あらかじめ凹状に成型されたシートを突起部(突起部)を覆うように固定して上記スペースSを形成させることもできる。
[0034]シート12と傾斜壁部1cとの重なり幅tは5~200mm特に10~100mm程度が好適である。
[0035]このようにクラフトテープ11及びシート12を貼った後、従来と同様に断熱層2の吹付け、コート層3の吹付け、トップ層4の吹付けを行って、図1(c)及び図2の通り防水層5を金属屋根本体10の上面の全体に形成する。コート層3及びトップ層4は、材料の特性により、ローラー、刷毛等の施工工具を用いて塗布してもよい。
[0036]断熱層2は設けてもよく、設けなくても良い。断熱層2を設けないときは、金属屋根1とコート層3とが付着するプライマー層を設ける。プライマー層は吹付けもしくは前述の施工工具により塗布する。
[0037]このようにして形成された防水層5は、クラフトテープ11以外の箇所には密着状に付着している。クラフトテープ11の上面は、防水層5に重なっているが、クラフトテープ11と防水層とは付着(粘着又は接着)していない。
[0038]そのため、クラフトテープ11の近傍において防水層5と金属屋根本体10との間に水分が入り込み、この水分が蒸発して水蒸気となった場合でも、この水蒸気や水蒸気を含んだ空気は、防水層5とクラフトテープ11との界面に流れ込み、クラフトテープ11の長手方向に拡散する。そのため、クラフトテープ11の近傍における、水蒸気の膨張に起因した防水層5の膨れが防止される。
[0039]また、山部1aやその近傍において防水層5と金属屋根本体との間、あるいは防水層5とシート12との間に水が入り込み、この水分が蒸発して水蒸気が生じたとしても、この水蒸気又は水蒸気を含んだ空気は、前記スペースSに流入し、山部1aの長手方向に拡散する。これにより、山部1aやその近傍における防水層5の膨れが防止される。
[0040]上記実施の形態では、クラフトテープ11とシート12との双方を貼っているが一方のみを貼るようにしてもよい。
[0041]上記実施の形態ではクラフトテープ11を用いているが、一方の面が金属屋根に対する付着性を有し、他方の面が防水層に対し付着性を全く又は殆ど有しない、その他のテープを用いてもよい。また、クラフトテープ等のテープを貼る代りに、塗料を用いてクラフトテープと同様の特性(金属屋根本体に付着し、防水層には非付着となる性質)を有した中間層を形成してもよい。
[0042]ただし、クラフトテープは、その合成樹脂ラミネート面が防水層との付着性を全く又は殆ど有しておらず、また、安価で取扱いも容易であるので、クラフトテープにより中間層を形成するのが好適である。
[0043]本発明では、防水層の構成は特に限定されるものではなく、一般的に用いられている断熱層、防水コート層及び保護用トップ層を有するものに限らず、さらに別の構成の防水層を採用してもよい。防水層の材料も特に限定されない。
[0044]1,10 金属屋根本体 1a 山部 1b 谷部 1c 傾斜壁部 1d 突起部 2 断熱層 3 コート層 4 トップ層 11 クラフトテープ 12 シート