Clinical study of impaired lung oxygenation in acute Stanford type B aortic dissection

急性大動脈解離の発症初期における肺酸素化障害の臨床的特徴を明らかにすることを目的とした。1992年1月から2001年12月まで,発症24時間以内に山形県立中央病院を受診し,保存的に加療を行ったStanford B型大動脈解離の60症例を対象とし,発症後の酸素化障害と臨床的特徴につきretrospective analysisを行った。酸素化障害の程度から3群に分類し,DeBakey3a/3b,胸水貯留,背側の圧排性無気肺,偽腔開存,臓器虚血,最大白血球数,最大CRP値につき検討した。高度な酸素化障害の症例ほど,Debakey3b型が多く,胸水貯留や臓器虚血を合併している率が高かった。また圧排性無気肺が酸素化障害を遷延していると考えられた。酸素化障害と最大白血球数との関係では弱い相関を認めた。またCRP値との関係では臨床的に有意な相関を認めた。大動脈解離の発症初期の酸素化障害には,解離の範囲,臓器虚血,胸水貯留,圧排性無気肺,炎症が密接に関わっていると推察された。