
症例は32 歳,女性。主訴は下腹部痛,水様性下痢。下部消化管内視鏡検査にて直腸に多発する顆粒状隆起を認め,生検では杯中心を伴うリンパ濾胞形成が認められた。内視鏡所見や臨床検査所見より潰瘍性大腸炎,悪性リンパ腫およびクラミジア直腸炎は否定的と考え,lymphoid follicular proctitis(LFP)と診断した。上部消化管内視鏡検査にて萎縮性胃炎を認め,血清Helicobacter pylori(H. pylori)抗体陽性であった。除菌治療を行ったところ,下腹部痛,下痢などの自覚症状は速やかに改善し,内視鏡所見も直腸の多発顆粒状隆起は消失した。LFP の治療法は確立されておらず,これまで除菌治療で改善した報告はない。本症例はLFP とH. pylori との関連性を示唆する興味深い症例と考えられた。