
道路トンネルは閉鎖された空間であり,火災が発生すると煙の遡上などにより,明り部よりも被害が拡大する可能性がある.近年の安心安全が求めらる社会情勢から,トンネル内の非常用施設を増強すべきと考えるが,費用や期間の面から,全てのトンネルの非常用施設の充実を図ることは難しい.このような課題に対し,リスクアナリシス手法を用いて,各々のトンネルの潜在的火災リスクを評価し,それに見合う対策を選定し,対策が必要なトンネルに対し,計画的に対応すれば,効率的に,未然に大きな被害を回避することができると考える.本稿では高速道路トンネル火災に関する「リスクアナリシス手法」を用いた,対策トンネルの絞り込みと対策の選定方法や,計画的,効率的に日本の高速道路トンネルの火災リスクを低減するしくみを提案する.
Near future, the occurrence of earthquakes along the Nankai trough is forecast. Therefore, the risk of fire due to earthquake and multiple simultaneous collapse of a building due to the strong shaking has been pointed out. In particular, in the city with many wooden houses, depending on weather conditions, serious and material and human damage is assumed. Therefore, the authors have developed a fire spread simulation system during an earthquake. So, to target voluntary organization for disaster prevention and fire department personnel and disaster prevention officer in Matsuyama, you have practice of presenting the training, provision and use of the simulation system. And implement a simulation system to Matsuyama fire department, through the survey, and have been researching for the formation of rulemaking to reduce the risk of fire earthquake local government and residents work together. Language: ja
低平湿地の開発には,鋼矢板水路に代表される水路施設が活用されてきた.長期供用されたこれら施設は,鋼材腐食に伴う構造安定性の低下が顕在化している.このため,既存施設の腐食実態評価が維持管理において重要な技術的課題となっている.本研究では,赤外線サーモグラフィ法により腐食鋼矢板の熱画像データを取得し,セミバリオグラムモデルを用いて評価した.セミバリオグラム解析は,物性値の空間分布特性を定量評価する手法である.検討の結果,セミバリオグラムは腐食実態の影響を受けたと考えられる明確なラグとセミバリアンスの関係が確認された.このことから,鋼矢板水路の腐食実態はセミバリオグラムにより簡易かつ定量的に評価できたものと推察された.
豪雨災害において小中学校などの教育機関が被災する事例が続いており,豪雨災害時の学校防災管理も組織の安全管理の観点から重要な課題の1つである.紀伊半島豪雨災害や九州北部豪雨災害など大規模な豪雨災害で被災した学校を対象にヒアリング調査を実施し,豪雨災害時の学校防災管理上の課題について,児童・生徒に対する安全と健康の管理,学校避難所の開設と運営の支援,早期の教育再開と教育継続の各段階ごとに整理した.豪雨災害時の学校防災管理のあり方についてまとめるとともに,教員対象の防災研修の実施事例について報告する.
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震とその後の大津波や大規模余震によって我が国は甚大な被害を受け,現在も震災からの復旧・復興に向けた作業が継続されている.このような震災復旧・復興工事では,通常作業とは異なり狭隘な作業箇所での輻輳した環境から労働者が被災する災害事例が多く報告されている.本論文では,東日本大震災による震災復旧工事における労働災害(死傷病災害)の発生状況について調査し,震災復旧工事における労働災害の特徴を分析した.さらに,地震被害に応じた震災復旧工事による労働災害発生の蓋然性を調査した既往の研究結果についても検証した.
東日本大震災では,多くの神社が津波被害を免れたことが指摘されている.本研究では,日本の神社に祀られる祭神の多様性は,人びとの関心に応じた差異化の結果であるという仮説から,宮城県沿岸部の神社についてその祭神と空間的配置に着目しながら被害調査を行った.祭神については特に,ヤマタノオロチ退治で知られるスサノオノミコトに着目した.スサノオは無病息災の神として祀られることから,洪水や津波といった自然災害時にも大きな役割を果たすと考えられる.また,地域の治水上の要所に鎮座していることが多い.東北での調査から,スサノオを祀った神社,またスサノオがルーツであると考えられる熊野神社は,そのほとんどが津波被害を免れていることを明らかにした.この結果は,地域の歴史や文化をふまえたリスク・マネジメントのあり方について重要な知見を提供する.
英国における安全教育,わけても安全教育センターでの取り組みについて,わが国の防災教育センターと比較することで,その特徴を明らかにする.さらに,英国では,安全教育センターという「専門家」とセンターへの来訪者という「非専門家」の間に立つボランティアが,センターの運営上,欠かすことができない役割を担っていることを紹介する.さらに,そうしたボランティアが,センターで専門家と非専門家の「つなぎ手」となることで,ボランティア自身も,活動を通じて学ぶことができる「複層的な学び」が提供されていることを紹介し,わが国の安全教育,防災教育の改善に向けた提案を行う.
「東日本大震災」は未曾有の大規模広域災害であった.最大震度7の地震発生,巨大津波の襲来により自治体の庁舎が流出し行政機能が停止した.さらに,道路や上下水道,ガスや電気等の生活インフラ,電話や行政無線等の情報インフラ等が寸断され,被害状況の確認ができず安否確認や救命活動に遅れが生じ,復旧や災害対策に支障を来し被害を拡大する事態となった.本研究では,行政無線等が機能せず被害拡大に繋がったことに着目し,被災地域の行政および消防機関へのアンケート調査とヒヤリング調査をもとに、大規模広域災害時における防災情報伝達,防災情報システムの在り方について検討する.
大河川の氾濫などを想定した場合,市町村の全域が浸水する可能性のある地域においては,地域内に避難場所を確保することが困難であるため,地域外への広域避難が検討されている.その一方で,危険から身を守るための緊急避難という観点からすると,浸水想定域外へ避難せずとも,高層階を有する建物へ避難することで,とりあえず命の危険を回避することは可能となる. 以上の認識のもと,筆者らの研究グループは埼玉県戸田市を対象に,荒川氾濫を想定した場合の緊急一時避難体制の構築を目的とした地域住民が参加する防災ワークショップを実施している.具体的には,緊急一時避難場所の選定と災害時要援護者の支援方法の確立である.本稿では,この実践内容を詳述することから,防災ワークショップを活用した地域の緊急一時避難体制の確立手法を提案する.
AND RETURN PERIOD OF INPUT MOTIONS FOR SEISMIC RELIABILITY DESIGN METHOD OF STEEL RIGID FRAME PIERS TAKESHI KITAHARA, YUKIHIDE KAJITA and YUSUKE KISHI Department of Civil and Environmental Engineering, Kanto Gakuin University, 1-50-1 Mutsuura-Higashi Kanazawa-ku Yokohama 236-8501, Japan. E-mail: kitahara@kanto-gakuin.ac.jp Department of Civil and Structural Engineering, Graduate School of Kyushu University, 744 Motooka Nishi-ku Fukuoka 819-0395, Japan. E-mail: ykajita@doc.kyushu-u.ac.jp
住民の適切な洪水リスク特性の理解のためには,浸水想定区域図を単に提示する従来の洪水ハザードマップでは不十分であるばかりか,幾つかの問題点が指摘されていた.これらの問題点の克服を念頭に,概略表記型洪水ハザードマップという理念が提唱されている.しかし,この概略表記型洪水ハザードマップにおいても,より複雑な洪水リスク特性の表現が困難であること,作成者の主観や能力に依存した作業が多くを占め,作成者が異なればマップもまた異なってしまうこと,などの点が実務上無視し得ない課題として考えられる.本研究では,これらの課題の克服を念頭においた作成手法として,洪水リスク統括マップ(気づきマップ)を提案するとともに,その半自動化作成手法について検討を行うものである.
本研究は,利用者からみた地下鉄構内の快適性についての心理評価法に関するものである.心理評価は,名古屋市営地下鉄の乗り換えのある9駅の構内を研究対象に選び,調査をした.その結果,4つの因子が抽出された.第1因子は,情報の伝達性,第2因子は,快適感,第3因子は,不安感,第4因子は,利便性である.さらに研究参加者の地下鉄利用頻度と年齢が,これらの因子にどのようなかかわり合いがあるか,共分散構造分析を施した.それによると,第1因子は,研究参加者の地下鉄利用頻度と関係し,利用頻度が多ければ情報の伝達性が高い.また加齢の効果は,第1因子と第4因子と関係し,年をとると情報の伝達性が悪くなり,利便性,たとえばエレベーターやエスカレーターに頼ると解された.
単弦ローゼ桁橋の鉛直材が鋼床版に貫通する溶接部位において,疲労損傷の疑いを持つき裂が発見された.これらのき裂は溶接割れか疲労を原因とする可能性が高く,特に後者の場合は適切な対策が必要となる.本研究は,き裂の原因を特定し,そのメカニズムを明らかにすることを目的として,コア抜き調査と応力測定を行った.コア抜き調査の結果,ルート部に未溶着部の存在が確認され,また破面観察からは疲労き裂の疑いのある破面が見られた.応力測定では,活荷重のレベルとその作用位置に対する応答に着目し,活荷重が損傷部位に及ぼす影響を明らかにした.
米国の州交通局の道路橋設計照査制度を資料および関係者へのヒアリングにより調査し,1)コンサルタントには設計を自らチェック(照査)することが義務付けられており,設計の責任があることが契約上,また実態上も明確である.一方,2)州交通局にはコンサルタントの設計をレビュー(照査)する義務があると連邦道路法に規定されている.3)州交通局はこの義務を果たすために,レビューおよびチェックのあり方を技術基準で規定し,設計照査制度として運用している.橋梁設計の専門知識を有するインハウスを配置してレビューを実施し,そして,コンサルタントに対し,設計者とは別人の技術者による独自の設計計算の義務付けなど厳格なチェックを担保するための処置をとっている,ことがわかった.
交通荷重の実態を把握するための技術にBWIMがある.標準的なBWIMと異なり,本研究では,垂直補剛材のひずみのみから車両の重量推定を行う簡便なBWIM(BWIM-IT)を提案する.車両走行試験結果で得られたデータを用いて妥当性の検討を行った結果,一部を除いて実用上問題のない精度で車重推定を行えた.精度上の問題が生じるのは併走走行時である.3次元FEM解析を実施し,横桁や対傾構により,隣接車線の車重が垂直補剛材のひずみに影響することが精度低下の原因であることを示した.その対策として,隣接車線の車重の影響が小さい垂直補剛材を選び出し,BWIM-ITを実施したところ,大幅な精度改善が認められ,BWIM-ITで実用上十分な精度の車重推定が行えることを明らかにした.
本研究では,メタ戦略の一つである従来型の粒子群最適化のアルゴリズムに対して,[1]解空間の効率的な絞り込みと,[2]粒子の移動速度に減速機能を設けるといったシンプルな改良を図ることで,これら2つの機能の相乗効果によって最適解の探索効率が向上した.また新たな試みとして,求解困難な問題と考えられていたコンクリート製下水管路の腐食劣化現象の将来予測に,この改良型粒子群最適化を適用して,腐食深度予測式を新たに構築したことを特徴とする.その際,[1]硫化水素ガスの発生量,[2]下水管内の気温の1年分の計測データ,[3]下水管路の供用年数,[4]管壁材料の種類の情報を説明変数として採用した.本論文では,この改良型粒子群最適化の有用性と,腐食深度予測手法および予測式の有効性を検証した.
積雪寒冷地域では冬期に路面清掃を実施できないため,初春期では路面に堆積する塵埃が多くなる.札幌市では,清掃対象路線を路線の重要度に応じて6つの清掃ランクに分類し,初春期の清掃頻度を定期よりも多く設定しているが,両時期における清掃頻度の妥当性については検討されていない.本研究では,札幌市の市道で継続的に収集した路面堆積塵埃を分析し,定期と初春期における路面堆積塵埃の堆積特性と粒度特性を明らかにした.また,路面清掃従事者と一般市民を対象に実施した路面堆積塵埃美観評価試験から,「美観」の保全に必要な路面清掃頻度を求める手法を確立した.さらに,本手法によって得られた路面清掃頻度を用いて,現状の路面清掃頻度の妥当性,問題点ならびに改善策について論じた.
スパイラル鋼管は,その製造工程の関係で複雑な塑性加工を受け,溶接シームも螺旋状になるため,ベンディングロールで製作されることの多い鋼製橋脚と耐震性能は異なる可能性がある.そこで,本研究ではコンクリートを充填しないスパイラル鋼管の正負交番載荷実験を行い,その耐力および変形性能といった耐震性能に関するデータの収集を行った.さらに,実験結果との比較により妥当性を検証した弾塑性有限変位解析により,より幅広くその耐震性能に関する情報を収集するとともに,溶接シームが耐震性能に与える影響等について考察を行った.そして,実験結果および解析結果から,既往の鋼製橋脚の手法をもとにしたスパイラル鋼管の耐震性能評価手法の提案を行った.
空港における滑走路,誘導路と道路との交差では,航空機の安全通行の確保からアンダーパスで立体交差させている.現在建設中の関西国際空港 2期空港島は,長期にわたり大きな地盤沈下が継続するため,アンダーパスの建設にあたっては,沈下を考慮するとともに,ドライ施工が可能な構造としてPC蓋掛け構造を採用した. 本研究では,航空機荷重(LA-0)が作用する広幅員のPC蓋掛け版の設計法および施工法を検討し,実際の構造物における重ダンプ載荷実験や大型航空機(A-380)走行時計測により妥当性を検証した.
道路管理者は,道路構造物維持管理における計画的維持の重要性を主張する一方で,対症的維持に日々追われている.本稿では,対症的維持が計画的維持に劣らず重要であるとの認識の下に,対症的維持の意義と改善が論じられている.対症的維持は,受益者および納税者としての道路利用者の満足度を向上させ,市民と道路行政との信頼関係を改善する好機と位置づけられている.コスト縮減,所要時間短縮,および通報者の待ち時間短縮を改善目標とした改善の枠組みが提案されている.