
Senjogahara Moor had been visited botanists and many tourists for a long time and is the one of the moor where relations with the human being are particularly strong in Japan. This study clarified changes of conservation consciousness on Senjogahara Moor from the Meiji period to the Showa period by various documents. As a result, it became clear as follows: (1) Importance of Senjogahara Moor was already discovered by botanists in the Meiji period, and conservation consciousness already occurred to botanists during the Taisho period. (2) The national park administration kept conservation consciousness continuously while being affected by the thought of the sightseeing promotion, from the designation of the national park to about 1965. (3) Senjogahara Moor was recognized as a place of the comfortable scenery and the tourism development from the Taisho period, conservation consciousness is not watched besides botanists and the national park administration until about 1965. (4) Change to positive conservation consciousness that national park administration took conservation measures was watched from about 1965, and it changed measures of other people and organizations.
Synthetic seeds or artificial seeds made by encapsulating somatic embryos, shoot buds, or any other meristematic tissue help minimize the cost of micro-propagated plantlets for commercialization (MANOJ et al., 2009). A synthetic seed is a functional mimic seed that has the ability to convert into a plant under in vitro or ex vitro conditions and that can retain this potential even after storage (CAPUANO et al., 1998; ARA et al., 2000). Synthetic seeds have multiple advantages for propagation by organogenesis, including ease of handling, potential long-term storage, higher scale-up, and low production costs (REDENBAUGH et al., 1987). A synthetic seed is surrounded by a protective coating, which provides necessary protection during storage, handling, and mechanical planting. The coating may also contain nutrients to provide the energy required for germination, which is normally supplied by the endosperm. Plant growth regulators may also be included to aid development during germination (GUPTA and KREITINGER, 1993). The synthetic seed technique is mostly used for mass propagation of somatic embryos (ONISHI et al., 1994). However, micro-propagated buds offer an interesting alternative (BAPAT et al., 1987; KINOSHITA and SAITO, 1990; PICCIONI and STANDARDI, 1995). The first synthetic seed was reported by KITTO and JANICK (1985), who successfully germinated carrot somatic embryos coated in a polyoxyethylene water disc. Synthetic seed research has since been extended to forest tree species, including Santalum album (BAPAT and RAO, 1988), Betula platyphylla var. japonica (KINOSHITA and SAITO, 1990), Picea glauca (ATTREE et al., 1994), Paraserianthes falcataria (ISHII et al., 1994), Betula pendula (PICCIONI and STANDARDI, 1995), Quercus robur (PREWEIN and WILHELM, 2003), and Dalbergia sissoo (CHANDA and SHING, 2004). These studies described the effect of medium, growth regulators, and sucrose on plantlet regeneration from the encapsulated tissue using systematic screening. Gmelina arborea and Peronema canescens (both Verbenaceae) are suitable tree species for industrial plantations in some tropical areas because of their fast growth and multiple uses. In vitro clonal propagation of these species has been successfully developed for the rapid circulation of selected plus trees (SUKARTININGSIH et al., 1999; SUKARTININGSIH, 1999). However, a large space is required for mass propagation of plantlets, and frequent subculturing is necessary to maintain cultures. Therefore, the in vitro propagation system must be improved. Many tropical Encapsulation of Axillary Buds of Gmelina arborea Roxb. and Peronema canescens Jack.
Tree phenology has been considered to become an ecological indicator for global climatic change.1) Meteorological Agency indicated that cherry blossoms tend to bloom earlier throughout Japan.2) Trees used in the meteorological observation is normally located in the vicinity of city. However, trees in a natural forest must be essential as an ecological indicator of influence on forest ecosystem. However, daily and long-term observations of tree phenology are difficult in a natural forest due to low accessibility. Then, previous studies on the tree phenology of the natural forest were conducted less frequently than that of urban areas, with interval of 3 to 7 days for several years. 1) 3) 4) Consequently, no daily observations have been conducted over ten years. This problem can be solved by automatic picture taking system. Recently, several systems have been developed. For example, the phenology of Betula ermanii is being observed with fixed photographic images in the Nature Education Park of Shinshu University, which has been located in a mountainous region since 1986.5) This previous study showed possibility of phenology observation by automatic picture taking system, but the accuracy of the method is not examined. We started video recording from 1995, in University Forest in Chichibu, the University of Tokyo. Long-term data of 13-year video recording archives are available for examining tree phenologies, such as full bloom date and bud flush date. The purpose of this study was to examine the usefulness of video recording of full bloom date in Prunus verecunda and bud flush date in Fagus japonica. Furthermore, we evaluated trends of the tree phenology in the natural forest.
ユビソヤナギ(Salix hukaoana)は日本固有のヤナギ科植物で,生育地が限られることから, レッドデータブックにおいて絶滅危惧 IB類に指定されている(環境省自然保護局野生生物課, 2000)。これまでに確認されている生育地は,関東から東北の 6ヶ所,すなわち,群馬県の湯檜 曽川(Kimura,1974)と奈良沢(坂・井出,2005),福島県の只見川(鈴木・菊地,2006),宮 城県の鳴瀬川と軍沢(竹原・内藤,1986),岩手県の和賀川(竹原,1995)のみである。これら は脊梁山脈の太平洋側に縦列し,その全てが河川上流域の広い谷底に生育している(鈴木・菊地, 2006)が,このような生育地は河川改修やダム建設によって改変が著しく,本種の保全のため にはその生育地を正確に把握することが急務である。そのためには本種の生育地と立地環境の関 係を整理して,潜在生育域を推定し,それに基づく調査により分布の全体像を明らかにする必要 がある。また,現在の隔離分布の原因を探るために過去の分布変遷の影響をどのように受けてき たかについても議論する必要がある。そこで,ユビソヤナギの潜在生育域の推定を行った速報を, 指村・井出(2009)に報告した。そこでは背景や解析方法,議論が充分に行われなかったため, ここに改めて詳細に報告する。 これまで植物の生育地推定は,植物の分布情報と,その立地の環境要因との関係から行われ てきた。推定に用いられる環境要因としては気候条件および地形・地質条件とがある。前者の 例としては,カリフォルニア南西部における潅木 20種の分布を年平均気温や日射量から推定 (Franklin,1998)したものや,日本全域のブナの生育地を温量指数や降水量,積雪量から推定 (Matsui et al.,2004)したものがある。また,後者の例としては,北西アメリカのグレート ベ イスン国立公園における希少種の分布(Aitken et al.,2007)や,カリフォルニアにおける 3種 のナラ類の分布(Vayssieres et al.,2000),屋久島におけるヤクシマサルスベリの分布(伊藤ら, 2006)を,傾斜など地形要因,及び周辺地質要因から推定したものが挙げられる。こうしたこ ユビソヤナギの広域的な潜在生育域推定 及び分布変遷に関する考察
土壌中での根呼吸と有機物分解によって生じた二酸化炭素(CO2)が土壌表面から放出され る現象を土壌呼吸と呼ぶ。森林土壌は陸域における炭素の主要な貯留場所の一つであり,森林 における土壌呼吸の研究が各地で実施されてきた(Raich and Nadelhoffer, 1989; Schlesinger, 1997)。土壌中での CO2の移動は一般に拡散現象として取り扱われ,土壌呼吸速度の計測と土 壌中 CO2濃度分布の測定の併用(Hashimoto et al., 2007)や,土壌中 CO2濃度分布の連続測 定(Hirano et al., 2003)の結果に拡散方程式を適用することによって,土壌中での CO2湧き出 し速度の深度分布推定が可能になる。通常,土壌呼吸は,このように求められた土壌中における CO2の湧き出しの積算値として理解される。土壌中のCO2湧き出し速度は温度や水分条件によっ て変化するため,土壌呼吸には,温度・水分などの環境条件への依存性が存在することが知られ ている(Davidson et al., 2000; Hashimoto et al., 2007)。 しかしながら,降雨時のように土壌中の水分条件などが急激に変化する場合に,土壌中の CO2環境や土壌呼吸がどのような影響を受けるかについては明らかになっていない点が多い。 溝口ら(2003)は,落葉広葉樹林(埼玉県・川越市)において自動開閉チャンバーを用いた土 壌呼吸速度の連続観測の結果から,降雨時に土壌呼吸速度が低下する場合と上昇する場合がある ことを示した。土壌呼吸速度の低下に関しては,土壌水分の上昇に伴うガス拡散係数の低下をそ の要因として挙げている。中本ら(2001)は,砂丘砂で形成された裸地(鳥取県・鳥取市)に おいて,異なる二深度で土壌中 CO2濃度の連続観測を実施し,降雨時に土壌中 CO2濃度が急激 に上昇することを確認した。その上で,降雨時に生じる現象については,土壌中のガス拡散係数 の低下よりも土壌表面の雨水による被覆に伴う拡散停止と理解する方が実態に合うことを指摘し ている。両者は降雨中に土壌呼吸速度の低下が生じたという点で共通した結果を得ているが,異 なったメカニズムを要因として挙げている。溝口ら(2003)と中本ら(2001)は,それぞれ土 壌呼吸速度と土壌中 CO2濃度分布だけを測定しているが,降雨時に土壌中の CO2拡散プロセス 降雨イベント中の土壌中二酸化炭素濃度と 土壌呼吸速度の変化
日本の木材貿易が自由化されて以来,日本の林業や木材産業をめぐる経済環境は大きく変化し てきた。市場の開放に伴い低価格の外材や外国産木製品の供給が増え,国内市場の木材価格が引 き下がることになった。木材価格の低迷が続くなかで国内の木材生産は減少し続け,かつて90% に達した国産材の自給率は現在約20%に落ち込んだ。木材生産の減少は,林業従事者や森林投資 を減少させ,森林の発揮する公益的機能の低下へのおそれをもたらしている。 1990 年代以降グローバル化の進展は世界経済の結びつきを深めて,各国経済の貿易への依存 をさらに高めた。貿易への依存が高いということは,各国の林産企業が海外での競争にさらされ ていることを意味する。たとえある地域の小規模の製材工場であっても市場で競争する相手は近 所の製材工場にとどまらず,欧州や北米にも存在するというわけである。また,海外の林政の変 化や国際経済環境の変化が各国の木材産業にも影響を与え,木材産業の生産性を変化させたり, 国際市場における比較優位の位置を変化させることになった。東南アジア諸国の原木輸出禁止政 策によって日本の合板生産が急激に落ち込んだことや,米国北西部州における老齢林の伐採制限 政策によって木材貿易の流れが変わったことなどがその例としてあげられる。このように一国の 林業や木材産業が国境内で完結することはなくなり,海外企業との競争が次第に厳しくなること はもはや避けられないこととなった。 一方,日本の木材・木製品の輸出額は,2007年で約 29億ドルになっており,農林水産物輸出 総額の数%,同年の木材・木製品輸入額 123億ドルに比べて極めて少額となっている(1)。この ような輸出入の現状に対して,農林水産省では2004年に「国産農林水産物・食品輸出促進本部」 を発足させ,輸出の取り組みを強化している。また,同年には「木材輸出振興協議会」も設立さ れ,中国,韓国などアジア向け木材・木製品輸出の市場開拓も進められている。 このような情勢を踏まえて日本の木材産業が置かれている国際競争的な位置を把握すること は非常に意義深いことだと考えられる。日本の木材産業が比較劣位にあることは既に言及されて いるが(岩井,1994;村嶌,2000),それに関する定量的な分析は管見の限り行われていない。 そこで,本稿では日本の木材産業における国際競争力の変化を定量的に追跡し,その上国際競争 力の変化に影響を及ぼす外的要因との相関関係を分析する。グローバル化の進展下で木材産業が *
1.1. 対馬の概要 対馬は,対馬島(南北82km,東西18km,面積696km2)と周辺の約100の属島から構成され る。九州と韓国の間に位置し,約1500万年前には大陸と陸続きだったが,約10万年前に現在の ような島になったと考えられている。 対馬島の89%は森林であり,その9割が民有林である。動植物は大陸と陸続きであった経緯か ら,大陸系/日本本土系/共通に分けられるが,ツシマヤマネコ(Prionailurus bengalensis euptilurus)のように固有の動植物も多く生息している。 行政区分では長崎県に属し,2004年3月1日に対馬島内の6町すべて(厳原町,美津島町,豊 玉町,峰町,上県町,上対馬町)が合併し,現在の対馬市となっている。また,対馬島の中央部 に,運河として 1900年に万関瀬戸が開削されており,万関瀬戸以北を上島,以南を下島とする 区分がある。後述するツシマヤマネコ保護における環境省の方針等では,この上島・下島という 区分が用いられている(図–1)。
クマ剥ぎは,スギ(Cryptomeria japonica)やヒノキ(Chamaecyparis obtusa)などの針葉樹 の樹皮をニホンツキノワグマ(Ursus thibetanus)(以降は,ツキノワグマと記す)が剥ぎ,形成 層をかじりとることである。剥皮された樹木は枯れたり成長阻害を生じたりする。後者の場合か じられた部分から腐朽し,材価は大きく減少する。クマ剥ぎは林業経営者に経済的な損失を与え ることが報告されており1)2),野生動物との軋轢問題の1つである。 クマ剥ぎ被害量(被害面積)は,羽澄 3)のクマ剥ぎ被害量の地域的推移やクマ剥ぎ被害の発 生年から見た分布(林野庁森林被害統計)によれば,全国的には1970年代に1000ha前後と最大 化しており,北陸,近畿地方(京都府,石川,福井,滋賀県),紀伊半島(三重,奈良県),四国 や中部地方(岐阜,長野県)においては,1960~1970年代にかけてピークに達した後,減少傾 向にある。その一方で,クマ剥ぎ被害量は,東京大学秩父演習林が位置する関東地方においては 1970年代に微少であったが,1990年代には,栃木,群馬,神奈川県で,西日本に比べて増加し ていた3)。 関東山地の中央部,奥秩父山地に位置する秩父演習林におけるクマ剥ぎは,1963 年に栃本地 区33林班で記録され,1987年に8,20,25林班,1994年に大血川地区の2林班へと,分布域が 広がってきた 4)5)6)7)8)。1999~ 2000年にかけての秩父演習林内 4齢級以上の人工林を対象 としたクマ剥ぎ発生箇所の分布7)によれば,クマ剥ぎ発生木本数は,樹種別にみるとヒノキ,ス ギ,カラマツ(Larix leptolepis)の順に多く,齢級別ではヒノキは6,5,8齢級の順に多く,ス ギは6,8,7齢級の順に多かった。 高野ほか6),芝野ほか7)によれば,2002年には,従来の20年生以上の人工林だけでなく,10 年生のより若齢の人工林においてもクマ剥ぎの発生が確認され始めている。筆者らが 2006 ~ 2008年に29林班で実施していた調査結果9)でも,17年生(2006年当時)ヒノキい4小班にお いて他小班に比べ,非常に多くのクマ剥ぎが発生していた。しかしながら,10年生の若齢人工林 でのクマ剥ぎ発生状況については報告が少なく,不明な点が多い。 *
学校教育において森林教育をどのように展開するかを考える際に,その場として身近で有力な 存在が学校林である。ただし,大学や農業高校の演習林と違い,学校林には法的な定義は存在し ない。もっとも狭義の表現をするならば「学校が所有する森林」であるが,近年は学校と学校林 の関係の変化に伴い,その有りようも新たな議論が必要となっている。学校林は,明治期にさか のぼれば地域社会が提供した学校の基本財産として出発したが,現在では資金もしくは資材の供 給元としての役割を果たしている学校林は稀少となっている。この時代に伴う変化については, 竹本の議論に詳しいが 注 1),伝統的な学校林の役割としての財産利用や地域産業としての林業教 育が困難となる中で,ともすれば林業に関わる人材育成に矮小化されがちだった森林と教育の関 係についても変化が起きている 注 2)。 本稿では,学校教育における森林の新たな教育利用,すなわち教科教育,総合的な学習の時間, 特別活動等での環境教育,教科教育実施の施設として学校林を再評価して,その管理と利用の実 態を全国調査結果から把握することを目的とする。学校林の現況については,個別的な事例研究 はいくつかある他,石橋らによって関東地方の学校林についての研究があるが,全国の現況につ いての研究は存在しない 注 3)。本稿では,筆者が調査設計者として関わった全国規模の学校林現 況調査の結果を基に,立地と学校林の関わりという視点で学校林を取り巻く環境による利用や管 理状況の差異や問題点を明らかにする。 立地条件による学校林の相違と地域社会の関係: 2001年学校林現況調査の結果から
日本の森林管理は林業が担っており,その中心的主体である森林組合は地域の森林管理主体で あり,森林組合作業班員が担ってきた。そもそも,これまでは林業は一次産業が主である農山村 社会を前提としており,かつては農業との兼業で行なわれるなど,他産業と比較して特殊な産業 として位置づけられてきた。また,作業班員の新規採用は,これまでは地元農林業従事者が中心 であったが,近年,新たな動きが生まれている。長期に亘る林業の低迷から,新規採用の際には 林業未経験者が採用される傾向が強くなっている。そして,新規採用に伴う事業体側の負担軽減 を目的とした林野庁の「緑の雇用担い手育成対策」事業の研修生となるためには,ハローワーク 等の公的機関を通じた紹介が必要となっている。その結果,現在一般労働市場からの人材獲得が 進みつつある。 このような状況をふまえ,林業,ここでは森林組合が実施する林業を職業の一つとして捉えた とき,労働市場でみた場合,どのような特徴を備えているのか,他産業と比較する必要が出て来た。 林業を他職業と比較したものでは,例えば田村ら(1998),田中(2006)が他の一次産業や建設業・ 産業全体との就業者数動向の異同をコウホート分析により解明している。しかし,一般労働市場 の視点から,一職業としての林業の特徴を把握するには,就業者の賃金に関する分析等が常道で あるが,これまで先の田村らや田中のコウホート分析による産業間での就業者数動向の比較や, 田村(2002)などが,林業と建設業の同じ地域での賃金に関して単純比較を行っているものの, 就業者の賃金への本格的な要因分析には取り組まれないまま現在に至っている。そのため,林業 労働という業種を職業の一つとして捉え,就業者の賃金に関する要因分析を実施する場合,どの ような分析が出来,その分析結果としてどのような特徴が見出せるのかを析出していくことが必 要となってきている。 そこで,本研究では林業労働の賃金がどのように決定されていくのかを把握する。労働市場に おける各産業が提示する賃金の特徴に関して,労働経済学の研究蓄積があり,本研究では技能の 上昇が賃金上昇を決定すると仮定している人的資本理論を基盤にした,労働経済学のMincer型 林業におけるMincer型賃金関数の作成 -兵庫県但馬地域内森林組合作業班員を対象として
日本の国土の約 7割は森林であり(国土交通省,2007),そのほとんどは山地に存在する。し かし現在,木材価格の低下などによって間伐などの管理が不足し,森林の荒廃が防災の観点から 問題となっている。また,森林の二酸化炭素の吸収,貯蔵機能にも注目が集まり,持続的な木材 生産と二酸化炭素の吸収,貯蔵機能を両立させる必要に迫られるなど,森林管理について様々な 課題が生じている(林野庁,2003)。森林資源や森林の持つ公益的機能を持続的に利用すること を可能にするためには,幼齢林から壮齢林までの幅広い林齢の人工林において樹木の成長を精度 よく予測できることが非常に重要であると考えられる。そのためには各成長段階において成長を 律速する環境要因やメカニズムを明らかにする必要がある。 一つの斜面に同時期に同じ遺伝子を持つスギを植栽した場合でも,その成長量には著しい差を 生じ,尾根では小さく,谷付近ほど大きくなっていくことはよく知られている。山地林において は,斜面部位によって気温,湿度,日射量,風速,土壌水分,土壌養分など多くの環境に違いが 現れることから(塚本,1998),成長の違いを生む主要因を明らかにすることは難しい課題であ るが,その原因を明らかにするために様々な研究が行われてきた。 その結果,スギの成長量に差が生じる原因は,特に成長に欠かせない水分や主要な養分である 窒素に尾根から谷への傾斜方向に偏りがあることや(丹下ら,1989),樹高成長がよい個体ほど 葉中の窒素やリン酸の含有量が高くなる傾向があり,窒素やリン酸が成長を制約している可能性 が示唆される場合もあるが,林齢や調査地によっては明瞭な関係を示さない場合もあること(原 田,1970;伊藤ら,1972)などが報告されている。また,土壌については有効土壌の厚さが斜 面部位によって異なり,土層が薄いかまたは浅い位置に不透水層を持つ土壌断面の場所では樹高 成長が若い林齢から頭打ちになること(中村,1943),透水性のよい土壌が深くまであるほど40 年生時の樹高(地位指数)が大きくなること(真下,1960),土壌のpH(H2O)が乾燥時でも6 より高い場所では尾根と谷付近で幼齢期のスギの成長量に差が生じず,土壌のpH(H2O)が6よ *1 *2 *1 *1
本研究は栃木県唐沢山の広葉樹再生林を対象に林分動態を解析し,その結果を基に成長予測を 行ったものである。 かつて薪炭林・農用林として利用されていた里山林は,昭和 30 年代から化学肥料や化石燃料 の普及に伴い人々の利用が減少していった。その面積は旧薪炭林だけでも日本の全森林面積の約 3割(7,000,000 ha)あるといわれている(蜂屋,1981)。放置された里山林の利用については, シイタケ原木の採取や有用広葉樹林への転換などが検討されていた(相場ら,1983,1984;小 菅,1986;宇都宮大学林学科,1991)が,直接の利用価値と経済価値は失われていった(只木, 1997)。その後,住宅・工場・ゴルフ場などの開発が進められるなか(只木,1997),1990年代 に入ってから里山林に対する意義や価値が再発見されだした(張・北尾,2001)。それらは林業 的な価値ではなく,二次的自然をめぐる生物多様性,都市にとってのアメニティー空間,市民に とっての自己実現の場としての価値であり(張・北尾,2001),里山林を景観改善,レクリエー ションや市民活動,環境教育の場として利用する例も多くみられる(中川,2001;野尻ら,1998)。 このように放置された里山林に代表される広葉樹再生林に対しての関心の高まりや里山林を利 用した活動が拡大している現状をふまえると,広葉樹再生林を管理するための指針が必要になる と考えられる。例えば,里山特有の種多様性は定期的に人手が加わることにより維持されてきた ものであり,今後もこのような多様性を維持していくためには過去の森林利用と同様の管理が必 要になるであろうし,レクリエーションや環境教育の場としての利用には,景観の美しさや林内 における活動のしやすさが求められ,広葉樹再生林の管理が必要になるであろう。 ところで,あらゆる森林の管理においてもっとも基本的なことは,将来の林の姿を描いた上で 計画を立てること,すなわち,成長予測に基づいて計画を立てることである。成長予測を適切に 行うためには,1現在の林分構造の的確な把握と分類(林型区分),2林型区分に基づく成長解 析,3成長モデルの作成と予測,という3つの段階が必要である。本研究で対象にする広葉樹再 生林は,その成立過程から考えて,元々は特定の種(アカマツやナラ類)のみが存在する単純林 *
樹木の分布や成長のパターンについては古くから地形との関連性が指摘されており (菊池, 2001),地形と樹木の分布やサイズに着目した解析が多く行われてきた(Tanaka, 1985; 杉田ら, 1995; Yamakura et al., 1995; Yamada et al., 1997; Suzuki et al., 2002; 澤田ら,2005a; Masaki et al., 2005; Noguchi et al., 2007)。近年,GIS(= Geographic Information System)が普及し,こ れによってより精度の高い地形解析を行うことが可能になってきた。とくに DEM(= Digital Elevation Model)はそのメッシュ解像度の再配列,すなわち 1方形枠の大きさを調節すること によって,たとえば樹木実生の発芽・定着に影響を与えるようなミクロな地形の起伏凹凸から, ある山腹斜面内における起伏といった小地形スケールの変化,また尾根-谷といった山地特性を 識別できるような大スケール(景観スケール)の地形,さらにはもっと大きく,地理的スケール の地形までを広く扱うことができ,それぞれで地表面の状態を 2次元的に表現することが可能 である。最近では,例えば小笠原における外来木本種アカギについて,DEMを用いることで分 布に有効な地形因子を抽出し(Fukasawa et al., 2009),これによって得た分布情報を今後の順 応的管理に応用する例もみられ(田中ら,2009),非常に有用なツールとなっている。 東京大学大学院農学生命科学研究科附属秩父演習林(以下,秩父演習林)ではブナ(Fagus crenata)-イヌブナ(Fagus japonica)-ツガ(Tsuga sieboldii)を優占種とした天然林が保存 されており,1994年に同林分(6.875ha)を用いて,太平洋側の山地帯天然林の動態の解明お よび森林生態系の保全のための基礎資料を得ることを目的とした大面積長期生態系調査プロッ ト(Long-Term Ecological Research site;以降,LTER-site)が設定された(梶ら,1997)。以 降,毎木調査を基本とした大規模かつ継続的な調査と定期的な取りまとめが行われている(梶 ら, 1997; 澤田ら,2005a; 澤田ら,2005b; 澤田ら,2008)。LTER-siteは 25× 25mのコドラー ト 110区画からなり,その設定時に各コドラートの端点の測量が行われ,格子状の測点からな DEMを用いた秩父天然林における小地形の抽出と ブナとイヌブナの分布特性