
自然環境では,微生物-植物-動物がさまざまな形で 共生関係にあり,一つひとつの生命の営みとともに,生 態系全体を支えている.たとえば,土壌には,1グラム あたり数十億個を超える細菌が存在しており ,その 種類は100万種を超えるといわれている .このような 土壌において植物は生育し,根圏微生物,ならびに植物 の体内や体外に生息する微生物群(エンドファイト,エ ピファイト)をも抱え ,植物体としては,微生物-植 物の共生系を形成している.動物も同様のことがいえる. 近年,進展している腸内細菌の研究においては,ヒトの 腸内に生息している微生物群,いわゆる腸内フローラを 形成する細菌群が,数百種類の細菌からなり,ヒトの細 胞数37兆個 よりも多く,少なくとも40兆個以上が共 生している可能性があることが明らかになっている . Lederbergは,これらの宿主と細菌の共生する様を捉え て,「superorganism」として表現している .和訳する ならば,「超生命体」であり,植物も動物も同じ見方と して捉えることができる.一方,Wallらは,土壌の微 生物群の多様性が,ヒトの健康に有益であることを提唱 しているが ,動植物が「超生命体」であると捉えた時 には,自然界の微生物の様相とその相互作用のあり方が いかに重要であるかが推察される. 人類が自然界の微生物を利用してきた歴史における代 表的な事例として,酵母,乳酸菌,枯草菌(納豆菌)に 代表される常温領域で活動する中温菌を活用した発酵食 品があげられる.これらの中温菌に関わる研究について は,多くの研究者による国内外の研究成果が集積し,今 なおさまざまな研究開発が進められている(図1a).一 2017年度 生物工学技術賞 受賞 好熱性微生物を活用した未利用バイオマス資源からの 高機能性発酵製品の製造と学術的解明