
エチレンならびにプロピレンのオキシシアン化, 特に初期段階における塩化パラジウム-塩化セシウム触媒の活性低下ならびに再生について動力学的に検討した。活性低下比速度ならびに炭素質析出速度とも触媒層の入口側の方が大きく, また, オレフィンの分圧に依存しない。さらに, 活性低下比速度と炭素質析出比速度の一致が見られた。活性低下した触媒は 300℃ 前後で, 酸素含有気流中で処理することにより再生された。触媒の活性低下はシアン化水素から生成した炭素質の析出にもとつくことがわかった。300℃ 前後では, 再生比速度は活性低下比速度に比べてかなり小さい。4気圧のオキシシアン化における活性低下比速度は1気圧のそれより若干大きい。エチレンのオキシシアン化の 500 時間の長時間連続実験を行なった。活性低下比速度は最初の段階を除くと 5×10-6min-1であった。
非イオン性界面活性剤の逆型ミセル濃度領域における, 溶液構造の温度変化を調べるために, ポリオキシエチレン基の重合度 12 および 8.5 の 2種のノニルフェニルエーテルを用い, 80~95%水溶液の流動複屈折度および粘度の温度依存性を, 10~80℃ の温度範囲にわたって測定した。その結果,前者においては 85 %以上,後者においては 90% 以上の濃度溶液は,温度の上昇とともに負の複屈折度を減少して, ついにある温度で 0 となるが,さらに温度をあげると, 再び負の値を示すようになること, および, この複屈折度が高温度において再度負の値を示しはじめる温度で, 溶液の粘度はそれぞれ極小となることがみとめられた。これらの実験結果をもとにして, 非イオン性界面活性剤の 80~95% の溶液構造の温度変化について詳細な検討を行ない, 状態図をつくることを試みた。
尿素一チオ尿素共融混合物(モル比1:0.79)を調製し,この熱分解についてDTA・TGA・IR・UV,ペーパークロマトグラフィー,イオン交換クロマトグラフィーなどの物理的および化学的手段によって追求した・熱分解生成物中に非環状物の存在する最高の温度は230℃ で,この温度は尿素,チオ尿素の場合の中間に相当する。加熱生成物は最終的には尿素・チオ尿素の場合と同じ生成物が得られた。尿素,チオ尿素,尿素-チオ尿素共融混合物の3者についての動力学的解析ではまず熱分解反応は3段階より成ることが確かめられ,さらに第1段階は脱アンモニアなどによる重量減少5%位までのところであり,第2段階は環化によるトリアジン環の形成で,これが主要反応であることがわかり,第3段階はトリアジン環同志がさらに縮合して多環状化合物の形成することがわかった。
種々の溶融塩中でシクロヘキサンと塩素とを反応させると, 塩の種類によって生成物分布に著しい差異が認められた。例えば 300℃ の溶融塩中で反応させた場合, 塩化銅 (I)-塩化カリウム-塩化ナトリウム系混合溶融塩中では主にシクロヘキシルクロリドが生成するのに対し, 塩化亜鉛-塩化カリウム-塩化ナトリウム系のそれでは生成物のほとんどはシクロヘキセンであった。また原料シクロヘキサン中にラジカル禁止剤であるシクロヘキセンをあらかじめ 20% 添加しておくと反応率が著しく低下したが, シクロヘキシルクロリドをシクロヘキセンとともに溶融塩中に吹込むときには脱塩酸反応はほとんど阻止されなかった。以上のことなどから, 溶融塩中でのシクロヘキサンと塩素との反応は, (1) シクロヘキサンのラジカル的塩素化によるシクロヘキシルクロリドの生成, (2) シクロヘキシルクロリドのイオン的脱塩酸によるシクロヘキセンの生成, の2段階反応で進行すると思われた。また塩化亜鉛が脱塩酸反応に対し著しい触媒作用を示すのは分子性塩のルイス酸的塩素引きぬき作用によると推察した。
調製法の異なる2種のシリカ担持=ッケル触媒によるn-ペンタンおよびトルエンの水蒸気改質反応を流通系で検討し,前処理の触媒活性におよぼす影響を比較した。硫化水素前処理および還元温度変化に対して,両反応の活性およびみかけの活性化エネルギーに2種の触媒で顕著な差異が認められた。これらの結果から2種の触媒の活性表面に差異があると考えた。
不活性有機溶媒中で, サッカリンを五塩化リンとともに加熱しその塩素化合物を生成させたのち芳香族ジアミン類と反応させてピスアゾメチン型の顔料を合成した。サッカリンを顔料合成の原料として使用した例はなく, 生成した顔料も従来の文献にみられない新しい顔料であるためその合成法および性質を明らかにすることを目的とした。サッカリンを不活性溶媒, たとえぽクロルベンゼンまたは o-ジクロルベンゼンの中で五塩化リンと 120℃ に加熱すると容易に塩素置換が行なわれ, これに芳香族ジアミンの溶液を加えると 40~50% の収率で顔料を得た。しかしジアミン類として o-および m-フェニレンジアミン, 4,4'-ジアミノジフェニルエーテル, 4,4'-ジアミノジフェニルメタンおよび 4,4'-ジアミノジフェニルスルホンを使用した場合は顔料は得られなかった。生成した顔料は使用ジアミンの種類により色調を異にするが, 一般に黄色またはカッ色を示し, 耐有機溶媒性, 耐酸, 耐アルカリ性は良好であり, 耐光性も 6~7 級を示し特に 1,4-, 1,5-, 2,6- ジアミノアントラキノンより得られた顔料は8級で非常にすぐれていた。
酸化クロムを0~1.2mol%含むルビー単結晶および0.1~10mol%含むルビー焼結体の蒸発過程を1750~1950℃,=10-5mmHgの下で,Langmuir自由蒸発法により検討した。その結果,次のようなことが明らかになった。(1)純アルミナの蒸発係数を新たに測定し,1850~1955℃で0.17±0.02を得た。(2)1.2mol%以下のルビーでは単結晶および焼結体とも蒸発後,試料内部にはクロムの濃度減少が認められなかった。また・固溶したクロムが顕著にアルミナの蒸発を促進し,その度合は酸化クロムの含有量の増大とともに増加した。(3)10mol%ルビー焼結体での蒸発速度はクロムの拡散に律速されていることを確証し,クロムのルピー中の拡散係数として,D=199exp(-118,000±20,000/RT)を得た。また,蒸発による重量減少は時間の0.65乗に比例し,拡散律速のときにみられる平方根則に完全には従わなかった。このこと,および蒸発後の表面の粒界に沿って溝が入り,低濃度のルピー結晶が層状に成長している事実より,有効表面積の増大を推定した。
リン原子を含む難燃性高分子の合成研究の一環として, 4,4'-(フェニルポスフィニリデン) ジベソゾヒドラジドと二塩化アシルから, 主鎖に 1, 3, 4-オキサジアゾール環を有する含リンポリマーを合成した。Rとしては,-, (CH2)2, (CH2)4, (CH2)8, (CH2)10, m-C6H4, P-C6H4 の7種である。えられたポリマーは 187~388℃ の範囲の融点をもつ白色または黄色の固体であり, ほとんどの有機溶媒に不溶であるが, ギ酸, 濃硫酸等に可溶であった。また濃硫酸中 25℃ での還元粘度は 0.37~0.47dl/g であった。熱テンピンによる熱安定性試験によると 300℃ をすぎると次第に分解が激しくなり, 300~45℃ で急激に分解することがわかった。またこれらのポリマ一は, すぐれた難燃性を示した。
リン酸セルロース(反応型試料),およびリン酸二水素アソモニウム添加セルロース(添加型試料)の熱分解反応を示差熱分析による反応熱変化,および分解残さの赤外線吸収スペクトル,X線回折の変化より追求し,両試料の分解過程の差異を明らかにせんとした。反応型試料のDTA曲線には二つのピークが存在する。第1ピークは吸熱であり,第2ピークはリン含有率1.74%以下では吸熱,1.74%以上では発熱とリン含有率によってピークの種類が変化する。さらに,第1,第2ピークともピーク温度はリン含有率の増加とともに低温側に移動する。一方,添加型試料のDTA曲線には三つの吸熱ピークが認められる。各ピーク温度はリン含有率に無関係に一定である。熱分解残さのIR分析によると,リン含有率1.74%以下の反応型試料は第1段階反応でカルボ=ル基および,炭素二重結合の生成,第2段階反応でセルロースのはげしい分解をともなって,カルボニル基の増大および,共役二重結合が生成する。また,リン含有率1.74%以上の反応型試料では第1段階反応で炭素二重結合および,フラノース環の生成,第2段階反応で共役二重結合の生成および,フラノース環の増大がつづく。一方,添加型試料はリン含有率1.74%以下の反応型試料と同じ分解過程を示す。X線回折によると,反応型試料は加熱処理によって結鹸構造が崩れやすく,主熱分解反応が起こる温度までに結晶は消失する。したがって,結晶構造および結晶化度の熱分解反応への影響はないと結論できる。
さきに報告した双子型熱量計法をさらに発展させ, 反応中に物性が変わる反応を解析するため, 三ツ子型熱量計を試作した。この装置はステンレス製 1000mlオートクレープで 250℃, 100kg/cm2に耐え, 普通の有機反応, 重合反応などの解析を対象にしている。第1槽を全体の基準に, 第2, 第3の両槽で反応を行ない, 第2槽を反応熱, 反応速度の解析に, 第3槽を経時変化する装置特性の取得に当てている。まず, 熱移動論および動特性論による理論的考察を行ない, これを用いて特性試験を行なった。その結果, 本装置の総合誤差は 2~3%程度と思われる。また, スチレンの重合実験を行なったところ軍合熱 15.9kcal/mol(80℃) と重合速度の経時変化を得た。
加硫ゴム中の遊離イオウの含イ撮は,ゴム製晶の生産管理や晶質管理などにおいて,ゴムの物性を支配する加硫状態を知るLで重要である。その分析方法としては一般に臭素法と中硫酸ナトリウム法が用いられ,また古本らは電位差滴定法による銀滴定を報告している。著者らは,さきにlt中転白金電極を指示電極,SCEを対極とする短絡電流滴定法により,硫化染料中の遊離イオウを定量する方法を報告した。今回は加硫ゴム中の遊離イオウを比較的簡単な操作によって分析し得る方法を確立したので報告する.
イソブチルピニルエーテル (IBVE)-無水マレイン酸 (MAnh)-アクリロニトリル (AN) 三元系のラジカル共重合を行ない, 錯体機構の取扱いによる IBVE-MAnh 錯体の反応性を検討した。その結果, 錯体と AN の反応性は [IBVE]≧[MAnh] の仕込濃度では, riK(complex)=9.45±0.17, r2/K(AN)=0.09±0.01, [MAnh]>[IBVE]の仕込濃度では,暇K(complex)=5.85+0.18, r2/K(AN)=0.15±0.03となり, 仕込比により錯体の反応性に変化がみられた。この原因について検討するため, 希釈効果, 溶媒効果などを行なった。結果は A+DA〓AD のほかに AD+D〓AD2,AD+A〓A2D など1:1組成以外の錯体の寄与を仮定するとうまく説明できる。
液体複合肥料の原料溶液における重要な性質の一つである金属イオンの錯化, 可溶化の現象を解明するために, 低鎖長縮合リン酸アンモニウム溶液の単独ならびに共存時における Mn2+イオンの封鎖作用をポーラログラフをもちいて検討し, つぎの結果をえた。リン酸アンモニウム溶液において, Mn2+イオンはオルトリン酸基では中性~アンモニア性において NH4MnPO4・H20となってほとんど沈殿する。ピロリン酸基でもひろい pH 範囲において Mn2+イオンはピロ塩となって沈殿するが, 一部の Mn2+ は可溶態の錯体となって溶存する。しかし, その能力はいちじるしいものではなく, Mn2+ は最終的にはすベて析出する。一方, トリポリリン酸基は全 pH 範囲において沈殿を生ずることなく, Mn2+イオンを錯イオンとして安定化させ, とくに, オルト-, ピロ- と共存するときでも沈殿抑制に大きな役割をはたす。
The determination of some secondary aliphatic amines by catalytic titration is described. The amines can be determined in the range 0.1-5 mumole with relative errors of about 3%.
示差温度滴定法により非水溶媒中の第一, 第二, 第三アミンの混合物の分別定量を検討した。アミン混合物の分別滴定には滴定剤として過塩素酸が, 溶媒としてイソプロピルアルコール, メチルセロソルブまたは G-H 溶媒が使用可能であることを見出した。アミン混合物中の全アミン, 第一アミン, 第ニアミン, 第三アミンおよび第二, 第三アミンの合量は精度, 正確度ともにそれぞれ 0.7%, 1.0%, 1.0%, 0.5%, 0.9% 以内で定量できた。フェニレンジアミンの異性体を用いて, 溶媒の分別能の順序を決定した。塩酸標準液を用いた場合;イソプロピルアルコ一ル<氷酢酸≈G-H 溶媒<ジオキサン<メチルセロソルブ<アセトニトリル≈メチルイソブチルケトン過塩素酸標準液を使用した場合;イソプロピルアルコール<氷酢酸<メチルセロソルブ≈G-H 溶媒<ジオキサン<アセトニトリル≈メチルイソブチルケトン