Respiratory infections after renal transplantation

要旨 1974年5月 から1995年12月 までの当院で施行 した腎移植174例 に発症 した38例45回 の腎移植後呼吸 器感染症を重症度分類を行い検討 した. 死亡例は3例 であった. 発症 は移植後全期間に認められた. シクロスポリン使用と発症頻度, 移植か らの期間, 起因病原体 との関 連 はなかった. 間質性肺炎 は移植後1年 以内の発症が多かった. 治療経過を検討すると, 全例起因病原体の 確定前に治療が開始されていた. 発症による移植腎機能 への影響は軽微であったが, 感染症治療薬の多剤投 与例14例 中4例(28.6%)に 肝機能障害を認めた. 重症例4例 のうち2例 は的確な治療が行われず, 1例 は 多剤併用療法後の肝機能障害により死亡 した. 重症のカ リニ肺炎の1例 は早期の肺生検により治癒 した. 腎 移植後呼吸器感染症は, 移植後の死因の大 きな要素の1つ であり, 早期診断が非常に重要であると考え られ た. (キーワー ド:呼 吸器感染症, 腎移植, 多剤併用療法, 肝機能 障害)