
箱庭療法は伝統的な心理療法としてよく知られている.本稿では,クライアントが作成した箱庭の3次元計測点群データを活用した,箱庭療法を支援する我々の最近の試みを紹介する.まず,箱庭全体を俯瞰的に見たり,重要部分を主観的な視点で没入感を持って見たりできる,我々のVRシステムを紹介する.このVRシステムは,セラピストにもクライアントにも,新たな気づきを得られる環境を提供する.次に,クライアントの心理状態を反映した砂の起伏を視覚的に分析するための,我々の2つの可視化手法を説明する.ひとつは,法線ベクトルの情報を含まない点群曲面に適用可能な,新しい陰影付け手法である.もうひとつは,点群曲面に適用可能なロバストな等高線可視化手法である.これらの手法により,砂の起伏の視認性を大幅に向上させ,セラピストを支援することができる.
認知的側面を扱う心理カウンセリングにおいて,カウンセラー側がクライエントの関心を向けているかは,カウンセラーが出す質問形や解釈投与といった発話内容に現れるとされている.これらカウンセラーの発話内容を効果的に可視化し,分析を行うことは,カウンセリングのスキル向上に向けて大変意義があると考える.これを受け,我々は心理カウンセリングの逐語禄データを基に会話内容を可視化することで,視覚的分析を支援するシステムの開発を進めてきた.本稿では本システムの更なる有用性の検証として,初心者及び中級者カウンセラーによる実際のカウンセリングの逐語録データを用いて様々な可視化を行い,それぞれのカウンセリング内容について,熟練カウンセラーによる視覚的分析を行い,評価を行った.その結果,カウンセラー側の発話内容や発話量に関する様々な特徴を視覚的に確認できることを示した.
芸術音楽,およびエレクトロアコースティック音楽における音素材の拡張と音楽表現は、我々に新しい音の聴き方を求めている。では実際、どのようにしてその新規な音の聴取スキルを身につけることができるのであろうか。
X線による顕微イメージングは,X線の持つ短波長性と高い透過性を活かして,材料や生物試料の構造を、内部情報も含めて高分解能に観察する手段として利用されている.本研究では、X線自由電子レーザーのフェムト秒シングルパルスを利用した液中試料の高分解能顕微イメージング技術の開発を行った。集光したX線自由電子レーザーによる計測では、試料のみならず溶液試料ホルダ自体も大強度のX線照射により破壊されてしまう。そこでX線自由電子レーザーでの液中試料の効率的な計測を実現するために、コヒーレント回折イメージング用の高集積度溶液試料ホルダを新たに開発した。兵庫県播磨のX線自由電子レーザー施設SACLAでの実験により、開発した溶液試料ホルダを利用しての液中ナノ粒子構造の高分解能イメージングに成功した。