【目的】昨年本学会において,我々はLactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1(1073R-1乳酸菌)で発酵したヨーグルトの摂取が男子大学生に対してインフルエンザワクチン接種後のワクチン株特異的抗体価の増強効果を発揮することを発表した.今回,より幅広い世代の男女に対して,1073R-1乳酸菌で発酵したヨーグルト(1073R-1ヨーグルト)がインフルエンザワクチン増強効果を発揮するか否かを明らかにすることを目的に二重盲検並行群間比較試験を実施した.【方法】インフルエンザワクチン株に対する特異的抗体価が40倍未満の20歳以上60歳未満の男女62名(25-59歳;平均年齢43.7歳;男性25名,女性37名)を2群に分け,1073R-1ヨーグルト群には1073R-1乳酸菌で発酵したドリンクヨーグルト,プラセボ群には酸性乳飲料を1日1本(112ml),インフルエンザワクチンを接種する3週間前から接種6週間後まで摂取させた.摂取開始前,ワクチン接種時,接種3週間後,接種6週間後,接種12週間後に採血を行い,接種したワクチン株に特異的な抗体価をHI法で測定した.【成績】インフルエンザA型H1N1,B型に対する抗体価はワクチン接種後にプラセボ群に比べて1073R-1ヨーグルト群で有意に高い値で推移した.【結論】1073R-1乳酸菌で発酵したヨーグルトの摂取は,幅広い世代の男女に対してインフルエンザワクチン接種の効果を増強する可能性が示された.
【目的】我々はLactobacillus delbrueckii ssp.bulgaricus OLL1073R-1(1073R-1乳酸菌)で発酵したヨーグルトがマウスにおいてインフルエンザ感染後の生存日数を延長すること,肺洗液中のインフルエンザ特異的な抗体価を上昇させることを既に報告している.本研究では本ヨーグルトの摂取がインフルエンザワクチン接種後の抗体価に与える影響を評価することを目的にヒトを対象とした二重盲検並行群間比較試験を実施した.【方法】男子大学生49名を2群に分け,1073R-1群には1073R-1乳酸菌で発酵したドリンクヨーグルト,プラセボ群にはプラセボ酸乳を1日1本(112 ml),冬季休暇の前8週間と後2週間摂取させた.また,摂取開始3週間後には被験者全員にインフルエンザワクチンを接種した.さらに,摂取開始時,ワクチン接種1週間後,5週間後,約8週間後,約10週間後(摂取終了日)に採血を行い,接種したワクチン株に特異的な抗体価をHI法で測定した.【成績】インフルエンザA型H3N2に対する抗体価はワクチン接種後にプラセボ群に比べて1073R-1群で有意に高値となった.また,A型H1N1,A型H3N2ではワクチン接種後の抗体陽転率がプラセボ群に比べて1073R-1群で有意に高値となった.B型についてはワクチン接種後の抗体保有率が1073R-1群でのみ有効性の基準である70%を上回った.【結論】1073R-1乳酸菌で発酵したヨーグルトの摂取は,インフルエンザワクチン接種の効果を増強する可能性が示された.
【背景・目的】 転写調節因子PU.1は関節リウマチの病態において重要な役割を果たす破骨細胞の分化誘導に関わる.一方,TGF-βも破骨細胞において分化促進因子である.これらの背景から,TGF-β制御下にPU.1が破骨細胞特異的遺伝子発現を制御しているかを検証すると共に,その分子機構を明らかにすることを目的とする. 【方法】①BALB/cマウスの骨髄由来細胞を,M-CSF, RANKL, TGF-β存在下で破骨細胞を分化誘導する過程において,si RNAを用いてPU.1発現をノックダウンした.得られた細胞を,TRAP染色で酵素活性を評価し,定量的PCRにて破骨細胞マーカー遺伝子群のmRNA発現量を測定した.②TGF-βの有無が,PU.1のmRNA発現量に及ぼす影響を定量的PCRにより解析した.③破骨細胞特異的遺伝子のプロモーターに対し,PU.1がTGF-β制御下にどのように作用しているか,クロマチン免疫沈降法を用いて検討した. 【結果】①PU.1 siRNA導入により,TRAP活性は低下し,破骨細胞のマーカー遺伝子であるAcp5やカテプシンKなどのmRNA発現が抑制された.②TGF-βは,PU.1並びに破骨細胞特異的遺伝子群の発現量を増加させた.③Acp5やカテプシンKのプロモーター領域にPU.1の結合を認め,さらにTGF-β刺激により結合量が増加した. 【考察】破骨細胞形成において,TGF-βやPU.1は重要な因子となっている.引き続きTGF-β刺激に呼応したSmad分子群がPU.1の転写活性に関わっているかなど検討していく.