コンピュータ技術の進歩により,各種画像技術とそれをナビゲーション手術として直接治療に用いる試みが,1990 年ごろから脳神経外科領域から始まった.時を移さず整形外科でも脊椎外科と関節外科へ導入された.骨・軟部腫瘍手術へは2004 年の脊椎腫瘍への応用が最初である1).われわれも2006 年から骨・軟部腫瘍手術に症例を選んでナビゲーション支援下手術を行ってきた.当初は,術前CT 撮影時に皮膚マーカーを貼り付けてマッチングさせる方法を行っていた2).しかし,2013 年に現在使用している術中CT ナビゲーションシステム(intraoperativeCT navigation system)が淀川キリスト教病院で使用可能となった. 本稿では,過去15年間のナビゲーション使用経験をもとに,骨・軟部腫瘍手術における術中ナビゲージョン使用の利点や欠点と今後の展望について報告する.
超高齢社会において脊椎疾患の病的意義はますます大きい.特に脊柱矢状面アライメントの悪化は腰痛や生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼし,高齢者の日常生活を著しく障害する1).手術機器,技術の進歩により脊柱変形に対する矯正固定術が行われるようになってはいるが,高齢者では高い合併症率や高コストが報告されており2),予防的治療を中心とした治療戦略への見直しが必要である.近年ではサルコペニアをはじめ,筋量減少と疾病との関係に注目が集まっている.体幹筋は脊柱の支持に不可欠な要素であり,体幹筋への介入により脊柱変形を予防できる可能性はあるが,脊柱アライメントと体幹筋量や筋力との関係は十分に解明されていない.本稿では脊柱アライメントと,特に体幹部の筋量,筋力との関係について筆者らの研究成果を最新の知見をふまえて考察する.