〔背景〕現在,一酸化炭素(CO)中毒の確定診断は,採血してCo-oximeterで血中の一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)濃度を測定する方法しかない.しかしCOHb濃度を測定するCo-oximeterは高価なため,第三次救急医療施設においても設置していない病院がある.またパルスオキシメータでは,血中COHb濃度が増加してもSp0_2を過大評価し,医師および救急士に誤解を与える要因となっている.そこでわれわれは,パルスフォトメトリの原理を応用し,無侵襲でCOHb濃度を計測する技術を開発した.in vitro実験,動物実験,ボランティア試験にて評価検討後,試作したCOHb測定装置を用いて経皮的一酸化炭素ヘモグロビン濃度(SpCO)を測定し,臨床での評価を行った.〔対象と方法〕健康なボランティア8名.被験者はマスク換気下でCOガスを吸入,動脈より採血された血液をCo-oximeterで測定しながら,血中COHb濃度を20%以下になるようにコントロール,被験者の指にはCOHb測定用プローブを装着し,パルスフォトメトリ法により脈波を連続測定した.なお,本プロトコルは獨協医科大学越谷病院生命倫理委員会の承認を得て行った.これよりSpCO計測のための計算式を求め,臨床評価を行った.対象は獨協医科大学越谷病院および東海大学病院救命救急センターに搬入されたCO中毒患者(疑いも含む).来院時に,手の指にプローブを装着し,SpCOを測定した.同時に,動脈血のCOHbをCo-oximeterで測定し,SpCOと比較検討した.〔結果〕パルスフォトメトリによるSpCOとCo-oximeterで測定したCOHbとの間には正の高い相関が認められた.〔結語〕パルスフォトメトリによるSpCOの測定は無侵襲かつ持続的に行え,臨床での応用が可能と考えられた.