〔緒言〕手術時には最良の術野が確保される体位をとる必要がある.しかし,術野確保の点では最良の体位であっても,患者にとって無理な体位は,褥瘡や神経障害の原因となる.褥瘡とは,皮膚組織が圧迫による虚血のため壊死に至るものである.外的要因として,圧,摩擦,不適切な体位,運動の外的抑制などがある.内的要因として,年齢,体型および体重,運動能力低下,低栄養などがある.褥瘡発生は,仙骨部,尾骨部に多く,外圧が毛細血管内圧である32mmHgを超えると血流が阻害され組織の損傷が起こるといわれている.この問題に対し代表的な体位(仰臥位)について,褥瘡好発部である仙骨部へのポリウレタンスポンジ挿入の有無について体圧分散変化を測定し比較検討した.〔方法〕31名の健常成人(A群),並びに8名の全身麻酔下患者(B群)に対して,手術台上仰臥位時の体圧を684個の感圧ポイントが配置された測定装置(ABW社製ERGO-CHECK【○!R】)を用いて測定した.〔結果〕最高体圧部位は,両群ともに全例仙骨部(A群平均62.5±23.8mmHg)であり褥瘡好発部位と一致した.除圧目的として仙骨部にスポンジを挿入した結果,両群共に有効な圧分散が得られ,最高体圧も有意に減少した(A群平均35.1±11.1mmHg).褥瘡発生圧32mmHgを越える領域も大幅に減少した.また,B群に関しては,スポンジによる除圧効果は挿入直後より手術終了時まで維持できた.〔考察〕実際の体圧,褥瘡予防の構築,またその有効性を客観的に評価できる機器として体圧測定装置は有用である.今回,仰臥位時仙骨部にスポンジを挿人することで,有意な圧分散効果が得られた.使用したスポンジは既製の褥瘡予防用具にかわり簡便かつ経済的な方法といえる.今後もさらに工夫,評価を重ね,安全性向上のため努力していきたい.