症例は60 歳台,女性。受診の約6 年前から度々の低血糖症状,意識消失発作を自覚していた。空腹時採血にて相対的高インスリン血症を認め,腹部エコー,腹部CT では膵尾部に径4 cm の腫瘍を認めた。絶食試験・グルカゴン負荷試験の結果からインスリノーマが強く疑われた。膵体尾部切除+脾摘術を施行し,病理組織学的にインスリノーマ(2010年WHO 分類でNET G2 に相当)と診断された。術後,血糖値と血中インスリン値は正常化し,低血糖発作も消失した。その後,副甲状腺機能亢進とMIBIシンチで副甲状腺の腫大が確認され,他院にて副甲状腺全摘出術を受けた。さらに,頭部MRIで軽度の下垂体腫大を認めたが,非機能性で圧迫症状も認めないため経過観察している。以上より多発性内分泌腫瘍症候群1 型(MEN1)と診断した。膵神経内分泌腫瘍の患者において,MEN1の可能性があることを念頭に置いて診療に当たる必要があると考えられた。