4-(2-ピリジルアゾ)レソルシノール(PAR=H2par)およびメチルトリオクチルアンモニウムニクロリド(MTOA=R3R′N+Cl-)によるニッケル(II)のクロロホルムへのイオン対抽出平衡を検討し,MTOAが高次錯体形成能をもつことを示した。MTOA濃度が臨界ミセル濃度(CMC)以下で抽出される錯体の組成は,ニッケル(II)とPARの結合モル比が1:2であり,弱酸性水溶液からNi(Hpar)2,pH8で[R3R′N+]2[Ni(par)22-],pH9以上の領域で[R3R′N2+]2[Ni(par)22-]が抽出されると仮定して抽出挙動を説明できた。MTOA濃度がCMC以上の場合,連続変化法の結果,三次錯体の抽出が認められ,上記のpH条件に応じて,それぞれ[R3R′N+][Ni(Hpar)3-],[R3R′N+]2[Ni(Hpar)2(par)2-]および[R3R′N+]3[Ni(Hpar)(par)23-]が抽出化学種であることを推定した.
8-キノリノールー5-スルポン酸を陰イオン交換樹脂に保持させた8-quinolinol-5-sulfonic acid-10aded resinを調製し, これを中性子放射化分析の前濃縮試剤として使用するための条件設定を行った。天然試料水を対象として親銅元素群を選択的濃縮するさい問題となる陰イオン濃度, 保持容量などについて検討し, その結果, 1.63meq・g-1resin度の8-キノリノールー5-スルポン酸樹脂1.0gでカラム法により, 硝酸イオン濃度0.01mol・dm-3以下およびpH4.6以上の試料水1dm3を処理することができ, 銅 (II) , 亜鉛 (II) , カドミウム (II) , コバルト (II) , マンガン (II) , ニッケル (II) は, この条件で定量的に捕集されることがわかった。