症例は75歳の男性で, 検診で行った上部消化管内視鏡検査で中部食道にメラニン沈着を伴う1型腫瘍を指摘され, 生検で食道悪性黒色腫と診断された. Positron emission tomography/CTでは, 縦隔内の小リンパ節は複数指摘可能であったが, それらへのtracerの集積は認めず, 原発巣以外の病変は指摘できなかった. 以上の検査所見より, リンパ節転移のない食道原発悪性黒色腫と診断した. 切除手術の意義はあると判断し, 右開胸開腹, 食道亜全摘, 3領域郭清, 胸骨後再建術を施行した. 切除標本の病理組織学的検査所見は, T1b (SM), N0であり, 術前の診断どおりリンパ節転移は認めなかった. 術後補助化学療法は行わなかった. 術後1年の現在, 再発は認めていない. 食道原発悪性黒色腫はまれな疾患であり, 確立した治療法はなく予後不良といわれているが, 早期例では予後が期待できるとの報告もあり, 術前の病期診断は非常に重要である.
4年5月間に3度の異時性転移再発 (肺・甲状腺・副腎) を切除した大腸癌の1例を経験したので報告する.症例は初回手術時47歳の女性. 平成6年2月にS状結腸切除術, D3リンパ節郭清を行った. 腫瘍は2型, 中分化型腺癌, ss, ly1, v0, n0, stage IIで組織学的根治度Aであった. 3年5月後の胸部X線検査で右肺の腫瘤像を指摘され, 平成9年9月に右上葉切除術を施行した. さらに頸部腫瘤が発見され濾胞腺腫の疑いで平成9年10月に甲状腺左葉切除術を行った. そして経過観察中, 血中CEAが43.2ng/mlと上昇, 腹部CTで右副腎腫瘤を認め, 平成10年7月に右副腎摘出術を施行した. 肺・甲状腺・副腎のいずれも, 組織学的にS状結腸癌の転移と診断された. 副腎摘出後2年8月経過したが無再発生存中である.