脳死膵臓移植は1 型糖尿病に対する根治的かつ生理的な治療法として,世界で総計40,000 例以上,毎年2,000 例以上施行されている.ほとんどが膵腎同時移植であり,その他の臓器移植と同等の成績が得られている.わが国では,ナショナルチーム実施体制をとり,手技が安定していること,術後管理が綿密であることなどにより,marginaldonor が多いにもかかわらず良好な成績が得られている.今後,腎移植後膵臓移植(PAK),膵臓単独移植(PTA)の成績改善,膵島移植の展開が期待される.
大腸憩室炎,憩室穿孔症例に対する低侵襲アプローチとしては腹腔鏡下手術が第一にあげられる.大腸憩室炎の重症度分類としてはHinchey病期分類が広く用いられており,Hinchey病期分類のⅠ,Ⅱまでの大腸憩室炎で,狭窄や瘻孔そして出血を伴ったものでも腹腔鏡下手術のよい適応であると考えられるが,HincheyⅢに相当する穿孔性憩室炎による化膿性腹膜炎に対する腹腔鏡下洗浄の効果は現在のところ立証されておらず,今後の課題であると考えられた.
胆道癌に対する肝葉切除兼膵頭十二指腸切除(hepatopancreaticoduodenectomy:HPD)は,高い術後合併症率,手術関連死亡率のため,標準手術として受け入れられるにはいたっていない.近年の術前,術中処置および周術期管理の進歩に伴い,high volume center では手術関連死亡率は5 %以下となっているが,現在でも限られた施設で行われるべき術式であることはかわりがない.HPDのもっともよい適応症例は,広範な水平方向進展を伴う胆管癌であると考えられ,進行胆囊癌に対する適応の是非には結論は出ていない.手術の安全性の確保,長期成績の向上のためには,術前胆道ドレナージ,術前門脈塞栓術,二期的膵空腸吻合,さらに術前の正確な病変進展範囲の把握が重要である.