症例は70歳,女性.左膝上部ナイフ刺創後17年目に,患肢の大腿~下腿内側に怒張した下肢静脈瘤を主訴として受診した.左鼠径部にthrillを触知し,左下腹部に手拳大の拍動性腫瘤を触知した.静脈造影では膝窩静脈に造影剤のto and froを認め,動脈造影および造影CTでは膝窩動静脈瘻と拡張した大腿動静脈,さらに径9cmのiliac venous aneurysmを認めた.血液ガスデータより算出したシャント率は3.4であった.手術は,瘻孔部の共通管を開放し,同部の動静脈をそれぞれ径6mm,8mmのringed EPTFE graftにて再建し動静脈瘻を分離した.術後,下肢静脈瘤は軽減し,3週間後の造影CTではiliac venous aneurysmは径3.6cmまで著明な縮小を認め,内部に血栓形成の所見もなく,現在外来経過観察中である.外傷性動静脈瘻において,瘻孔部以外の部位にvenous aneurysmを形成した例は過去に2例しか報告がなく,希な症例と考える.