【はじめに】人工膝関節全置換術後の急性関節炎は感染と偽痛風の鑑別に難渋しうる.今回我々は,人工膝関節全置換術後に生じた偽痛風発作の一例を経験したので報告する.【症例】84歳,女性.72歳時に両側変形性膝関節症に対して両側人工膝関節置換術を施行.ベット上から転落し,右膝の疼痛・腫脹が出現し,当院救急外来へ搬送.Xp上,明らかな骨傷なく,血液検査でWBCが26600/μL,CRPが16mg/dLと強い炎症所見を認めた.感染の可能性が考えられたが,関節液検査でピロリン酸カルシウム結晶が検出されたことから偽痛風発作と診断した.【考察】人工膝関節全置換術後の偽痛風発作は希であり,化膿性関節炎に類似した臨床像を呈するため感染と誤りやすい.しかし,術後偽痛風発作も念頭に置いて診断,治療に当たることで早期診断が可能であり,重要であると考えられた.
若年者のスポーツ外傷におけるTillaux骨折は非常に稀な骨折型である.骨折の診断に時間を要し,その他の骨端線損傷同様に早期の治療介入を要する.今回,若年者に生じたTillaux骨折を2例経験したので報告する.いずれの症例も14-15歳と骨端線損傷を受傷する年齢としては比較的高齢でり,また,受傷起点もスポーツ中での受傷であった.1例については単純レントゲン写真でも骨折の診断となりえたが,1例についてはCT撮影を行って初めて診断に至った.受傷同日に骨折観血的手術施行し,1例については装具装着のうえで術後2週目より全荷重での歩行訓練を開始した.術後3ヶ月目より競技復帰できている.これまで行われていた後療法では術後4週間の免荷が必要であったが,強固な固定に加え術後装具装着を行うことで早期荷重も可能であった.いずれの症例でも術後合併症なく日常生活を送ることができている.
近年,骨軟部組織感染症に対する新しいdrug delivery systemとして局所高濃度抗菌薬灌流療法(intrasoft tissue antibiotics perfusion; iSAP/intra-medullary antibiotics perfusion;iMAP)が報告され良好な成績を得ている.当院でも骨折観血的手術後の深部感染及び化膿性関節炎など計4例(iSAP 3例,iMAP 1例)に同治療を行った.手術室での十分なdebridementおよび全身抗菌薬投与に加えiSAP/iMAPを併用した.局所に投与する抗菌薬はゲンタマイシンを選択し,全身に投与する抗菌薬は細菌培養検査の感受性に応じて適宜変更を加えた.全例でゲンタマイシンによる副作用は認めず,感染再燃なく治療しえた.iSAP/iMAPは骨軟部組織感染症に対するdrug delivery systemとして有用な選択肢と考えられる.