AmpC β-ラクタマーゼ産生菌の遺伝情報はプラスミドによって菌株,菌種を超えて伝達されるため,院内感染対策で問 題となる.今回我々は,長期に抗菌薬投与をされていた肺炎患者において,Klebsiella pneumoniae Carbapenemase(KPC) 型との鑑別を要した AmpC β-ラクタマーゼ産生 Klebsiella pneumoniae を検出した一例を経験したので報告する.患者は 62 歳,男性.平成 23 年 8 月近医にて肺化膿症と診断され,治療中に肺出血を併発し当院へ転院した.患者は,入院 2 週間 前からカルバぺネム系薬が投与されていた.気管内採痰から検出された K. pneumoniae は,カルバぺネム系薬を含む全 β ラクタム系薬に耐性であったことから,KPC などのカルバぺネマーゼ産生菌が疑われた.しかし,Hodge’s test,シカベー タテスト,メルカプト酢酸の酵素阻害試験はいずれも陰性であった.本菌は,ボロン酸を用いた酵素阻害試験で阻止円の 拡大が認められたことから,AmpC β-ラクタマーゼ産生株と推定された.さらに,遺伝子学的検査の結果,本菌は DHA 型の AmpC β-ラクタマーゼ産生 K. pneumoniae であることが確認された.今回の分離株における imipenem(IPM)の MIC 値は 4 μg/mL であり,2010 年以降の CLSI のブレイクポイントで耐性と判定される株であった.AmpC β-ラクタマーゼで ありながら IPM の MIC が高かった理由は不明であるが,染色体性カルバぺネマーゼ保有の可能性も否定できないと考え る.このような耐性菌に遭遇した場合に備え,検査室では酵素阻害試験などを追試できる体制を整えておくことが必要で ある.