大腸癌手術におけるドレーン留置についての明確な適応基準はいまだ存在しない.ドレーンには情報・予防・治療の役割があるが,いずれの目的においても留置するにあたってはドレーンの種類,留置部位,留置方法など考えなければならないことが多い.本稿では,現在の大腸癌手術におけるドレーン留置に対する考え方と,当科のドレーン留置および管理の実際について論じる.
腫瘍下縁が腹膜翻転部よりも肛門側に位置する下部進行直腸癌に対して,側方郭清はこれまで日本の標準術式として行われてきた.近年,術前画像診断の質の向上とリスクに応じたテーラーメード治療の時代の中で,大腸癌治療ガイドライン2019 において術前画像診断に基づき側方郭清の推奨度にはじめて強弱がつけられた.また術前(化学)放射線療法を標準とする海外でも,側方郭清の意義が注目を集めている.側方郭清と(化学)放射線療法,その双方の長所・短所を十分理解し治療戦略を組み立てていくことが重要である.
胆道癌の切除後の生存率は不良であり,切除後の補助化学療法の有効性が現在検証されている.残念ながら,近年の3 本のランダム化第Ⅲ相試験は術後補助化学療法の有効性を明確に示すことはできなかった.現時点では,“切除後は無治療で経過観察する”ことが基本方針である.一方,切除不能胆道癌の中には,化学療法が奏効し外科切除が再考されることがある.このような症例をどのように扱うかは今後の検討課題である.
現行の胆道癌取扱い規約第6版と原発性肝癌取扱い規約第6版では,肝外・肝内胆管の境界の定義が異なるため,両者に重複がみられており,統計をとるうえで混乱を生じる可能性がある.胆管上皮の蛋白発現プロファイルやそこから生じる腫瘍の形質は,胆管の太さや分枝レベルにより規定されていることを示す報告が近年多くみられており,胆管癌の記載はできる限り原発の胆管枝を同定,記載し,そこからの進展形式を推定することが望ましい.実臨床として(狭義の)肝門部胆管癌肝実質浸潤例と,肝内胆管癌肝門浸潤例の予後が同等であるのか,あるいは差異があるのかは今後さらに検討していく必要があり,識別法の確立とその基準に基づく多数例の集積,検討が必要である.