【症例】71歳男性【現病歴】入院2ヶ月前より両下腿の筋痛を自覚.その後,大腿や肩にも筋痛が拡大,1ヶ月後には洗髪や階段の昇降が困難となり精査目的に入院した【経過】皮膚筋炎様の皮疹がなく,左右対称性の近位筋筋力低下,CK・アルドラーゼ上昇を認め多発性筋炎を疑った.自己抗体はRF,抗CCP抗体,抗ss-DNA抗体,抗ds-DNA抗体,抗SS-A抗体が陽性であった.下肢MRI・筋電図では活動性筋炎の所見を得たが,左外側広筋筋生検ではleukocytoclastic vasculitisであった.手指PIP関節を中心に関節腫脹・圧痛があり,RF・抗CCP抗体高値よりRAを疑い関節エコーを施行したが,腱鞘炎は存在するも滑膜炎所見はなかった.IgM1053mg/dl,血清免疫電気泳動でのIgG-κ検出よりクリオグロブリン血管炎を疑い患者血清を4℃で72時間保存したところ沈殿物を確認した.HCV陰性であり血液疾患の合併が疑われ,骨髄検査でリンパ形質細胞性リンパ腫と診断された.同疾患を背景としたクリオグロブリン血管炎による筋炎と考えられ,リツキシマブによる治療が開始された.治療後筋力低下・関節痛とも改善,各種自己抗体価も低下した.【考察】本症例は筋症状で発症し皮疹を認めず,クリオグロブリン血管炎として非典型的な経過を呈し,多彩な膠原病関連自己抗体を認め診断に苦慮した.同疾患の臨床像について文献的考察を含め考察する.
【目的】関節リウマチにおいて,滑膜細胞はマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)を産生し,関節組織破壊をもたらす.我々は,滑膜細胞からのMMPs産生抑制の手段の一つとして,滑膜細胞を人為的に脂肪分化誘導することが有効であると考えている.本研究では植物由来PPARγ ligandであるArterpilin-C(ART)とMagnolol(MGN)を用いて滑膜細胞の脂肪分化誘導を試み,分化誘導後のMMPs産生抑制効果を確認した.【方法】関節リウマチ患者由来滑膜細胞はArticular Engineeringより購入し,ARTとMGNは中部大学大学院応用生物学研究科より提供をうけた.滑膜細胞はデキサメサゾン含有培地にARTあるいはMGNを加えて培養し,培地は3日おきに交換した.脂肪分化誘導の確認は脂質の蓄積とFatty acid binding proteinの発現確認により行った.PPARγ発現はウェスタンブロッティングにて確認した.MMPs発現はReal time PCRにて行った.【結果】ARTとMGNによる培養により,1週後には滑膜細胞内脂肪滴が確認された.この分化誘導にはデキサメサゾンを要するが,最小デキサメサゾン濃度は10−7Mであり,この濃度のデキサメサゾンによりFLSにおけるPPARγ発現が明らかに亢進していた.分化誘導後にはMMP-1, -2のmRNA発現が低下していた.【結論】我々が想定している関節リウマチに対する滑膜脂肪分化誘導療法のツールとして,ARTとMGNは有用であると考えられる.
【目的】関節滑膜組織は表層からlining層とsub-lining層に区別され,その深層には脂肪組織が存在する.関節リウマチ(rheumatoid arthritis : RA)においては,骨髄の脂肪組織とともに関節腔近傍の脂肪細胞が減少するという変化を認める.線維芽様滑膜細胞(fibroblast-like synoviocyte : FLS)はサイトカインおよびプロテアーゼを産生するため,RAの治療標的細胞と位置づけられている.同様に間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell : MSC)は骨髄中に存在し,FLSと同様にIL-6分泌能があり,RAにおいても骨髄中の炎症維持や破骨細胞活性化に寄与すると考えられる.FLSとMSCは,共に間葉系細胞への分化能を有する.我々はFLSとMSCの脂肪分化誘導により,同細胞のサイトカイン産生やプロテアーゼ産生といったRA促進的機能を抑制できないか検証した.【方法】FLSとMSCの脂肪分化を誘導し,サイトカインとプロテアーゼの発現をmRNA及び蛋白質レベルで評価した.【成績】FLS,MSCいずれも脂肪分化誘導によりIL-6産生が劇的に抑制されるが,誘導されるインターロイキンは皆無であった.FLSにおいて脂肪分化誘導後にMMP-1とMMP-2の発現低下が確認された.【結論】FLSとMSCの脂肪分化誘導は,同細胞の炎症促進性あるいは組織破壊性の性格を抑制し,RAにおける滑膜あるいは骨髄での炎症や組織破壊の抑制効果が期待される.
Churg−Strauss 症候群(アレルギー性肉芽腫性血管炎)は,リウマチ専門医にとっては身近な疾患である。予後不良に関連する心筋炎と脳病変を伴って発症したChurg−Strauss 症候群例を提示するとともに,治療方針について考察した。