◎切除不能膵癌患者に対して化学療法を行う際は,長らくゲムシタビン(GEM)が標準治療薬であったが,現在はGEM に加え,S-1,GEM+エルロチニブ,GEM+ナブパクリタキセル,FOLFIRINOX が一次治療の選択肢として提案できるようになった.これらはいずれも,GEM をコントロールアームにしたランダム化比較第Ⅲ相試験にて全生存期間の非劣性あるいは優越性が証明された治療である.膵癌に対しては有効な薬剤が限られていることが長年の課題であったため,近年の治療選択肢の増加はたいへん喜ばしいことである.しかし,個々の患者が選べる一次化学療法はひとつしかないため,臨床の場ではあらたな悩みが生じている.複数の選択肢のなかからその患者にとって適切と思われる治療を選択するためには,それぞれの治療のリスクベネフィットを十分に検討し,それを患者がよく理解していることが重要である.