【目的】関節面が陥没した肘頭骨折に対して引き寄せ鋼線締結法(TBW)を2組用いるdouble TBW(DTBW)を行い,その治療成績を調査した.【対象】2017年1月以降Colton分類2C/2Dに対しDTBWを行った6例.【方法】陥没骨片を1組目のTBWで支持させ鋼線を前方皮質に貫いた.2組目のTBWは髄内遠位に挿入し鋼線近位端を鉤状に曲げた.関節面の矯正損失,骨癒合,肘関節可動域,Mayo Elbow Performance Score(MEPS),合併症について調査した.【結果】全例で関節面の矯正損失なく骨癒合が得られた.可動域は平均-9°~127°,MEPSは平均93.0点であった.合併症は表層感染が1例あった.鋼線のバックアウトは50% にみられたが皮膚刺激症状は生じなかった.【考察】関節面が陥没した肘頭骨折に対するDTBWの治療成績は良好であった.
【目的】大腿骨骨幹部骨折に対する逆行性髄内釘の適応と問題点を明らかにすること.【対象】2010年4月以降当院で手術を行い術後6か月以上経過観察可能であった症例のうち,複合骨折を除いた13例.【方法】逆行性髄内釘の選択理由,骨癒合,Knee Society Score(KSS),術後膝関節症状について調査した.【結果】選択理由は,牽引手術台等での順行性髄内釘使用困難が6例,infra-isthmal fractureのみが7例であった.骨癒合は11例(85%)で得られ,KSSは91.8点であった.術後膝関節症状が4例(遠位スクリュー周囲による痛み:3例,エンドキャップ脱転による痛み伸展制限:1例)あり,30~60歳代でいずれもinfra-isthmal fractureのみの症例であった.【結論】大腿骨骨幹部骨折に対する逆行性髄内釘は,順行性髄内釘の使用が困難な場合ではよい適応であるが,膝関節への影響を考慮し年齢に応じた慎重な選択が必要であることが問題点と思われた.
【はじめに】上腕骨骨幹部偽関節に対し,経肘頭ガイドピン刺入法による順行性髄内釘入れ替えを行い,骨癒合を得た症例を経験したので報告する.【症例】68歳女性.軽乗用車運転中に対向車と衝突して受傷した.左上腕骨骨幹部骨折に対し同日創外固定を行った.10日後に前方最小侵襲プレート固定法を行ったが骨癒合が得られず,術後1年で順行性髄内釘による偽関節手術を行った.それでも骨癒合が得られず,再手術後6か月後に経肘頭ガイドピン刺入法による順行性髄内釘の入れ替えを行った.再々手術後3か月で骨癒合が得られた.【考察】経肘頭ガイドピン刺入法では,遠位横止めスクリューに加えて肘頭窩まで刺入された髄内釘先端による固定力の追加が期待される.髄内釘後の上腕骨骨幹部偽関節は一般的にはプレート固定が選択されるが,症例によっては考慮されてもよい方法と思われた.