抗生物質の投与が原因となって発症する抗生物質関連大腸炎には出血性大腸炎と偽膜性大腸炎の2通りの病態がみられる.このうち出血性大腸炎は突発する腹部疝痛や下痢,下血,テネスムスなどの症状で急性腹症として発症する.しかも下部消化管出血の原因として,臨床の場での頻度が高く,なおざりにできない疾患の一つである.起因抗生物質は合成ペニシリン系,次いでセフェム系の薬物が多い.内視鏡像は横行結腸を中心として,著明なびらんと浮腫,膿状分泌物がみられ,大腸粘膜の壊死を思わすような重篤な粘膜像を呈する.本症は頻度の少なくない医原性疾患であり,抗生物質の投与は慎重でなければならない.