腱板修復術後に上腕骨頭軟骨下骨の脆弱性骨折やそれに伴う関節症をきたした3例(全例女性)を報告する.【症例1】72歳.右肩腱板修復術施行後9か月のXpで骨頭圧壊を認めた.以降骨頭圧壊の進行なく,可動性も良好であったため保存的に加療した.【症例2】68歳.右肩腱板修復術の術中に外側のアンカーが脱転し,遠位に再挿入を行った.術後より肩関節痛が持続し,術後6か月より骨粗鬆症治療を開始したが,術後1年のMRIで骨頭軟骨下骨の脆弱性骨折を認めた.骨粗鬆症治療介入を強化し,以降疼痛は改善傾向である.【症例3】74歳.左肩甲下筋腱部分移行術(Cofield変法)を施行後6か月のMRIで骨頭の圧壊と関節症性所見を認めた.骨粗鬆症治療を行い,1年6か月でリバース型人工関節置換術を施行した.【考察】高齢女性の腱板断裂修復術後に軟骨下骨の脆弱性骨折を合併することがあり,骨粗鬆症治療介入や画像フォローが重要である.
陳旧性肩関節前方脱臼骨折(2-part大結節骨折)に対し,観血的脱臼整復術と一時的関節固定術を行った2例を報告する.【症例1】66歳男性.自宅内で転倒受傷し,受傷後9週で観血的脱臼整復術を行った.プレートによる大結節の骨接合後も脱臼不安定性が残存したため,キルシュナー鋼線を用いて4週間の一時的関節固定を行った.術後1年で再脱臼はなく,肩関節自動可動域は屈曲75°外転45°外旋20°であった.【症例2】71歳男性.自宅内で転倒受傷し,受傷後6週で観血的脱臼整復術を行った.症例1と同様に3週間の一時的関節固定を行った.術後1年で再脱臼はなく,肩関節自動可動域は屈曲130°外転130°外旋45°であった.【まとめ】陳旧性肩関節前方脱臼骨折の2例に対して観血的脱臼整復と一時的関節固定術を行った.術後の再脱臼はなく,肩関節安定性の獲得に一時的関節固定術は選択肢の一つと考えられる.
発育性股関節形成不全症(DDH)に対してLudloff法で観血的脱臼整復を行った症例の長期成績を検討すること.1974年から2003年に当院で手術を行い,追跡調査が可能だった16例18股(男3例4股,女13例14股,右5股,左13股)を対象とした.手術時平均年齢1歳6ヵ月,平均経過観察期間17年5ヵ月だった.術前治療はリーメンビューゲル装具(Rb)が7股,牽引が3股だった.治療成績を最終観察時の単純X線像でSeverin分類を用いて評価し,Severin分類Group 1,2を成績良好群,Group 3~5を成績不良群とした.大腿骨頭壊死(AVN)はKalamchi分類を用いて評価した.Ludloff法後,6股に対して追加手術が行われていた.最終観察時,成績良好群が6股(追加手術後3股),成績不良群が12股(追加手術後3股)で成績不良群が67%を占めていた.2股にKalamchi分類Group 1,16股にGroup 2のAVNを認めた.Ludloff法は股関節後外側の関節包の解離ができないため十分な求心位を得られない.また,Ludloff法では追加手術を行っても良好な長期成績は期待できない.
【はじめに】多中心性細網組織球症(Multicentric Reticulohistiocytosis:MRH)とは組織球や多核巨細胞の増殖による破壊性関節炎や皮疹をきたす全身疾患であり,高頻度に手指DIP関節に骨破壊を来たす.今回,MRHによる母指CM関節病変を経験したので報告する.【症例】62歳女性.持続する左母指CM関節痛のため紹介となり,左母指CM関節は背側に亜脱臼し,CTで関節面の虫食い様骨破壊を認めた.また,両母指IP関節,両手指DIP関節にも骨破壊が認められ,画像所見からMRHが疑われた.母指CM関節病変に対しては関節形成術(Thompson法),症状のある手指DIP関節に対して関節固定術を施行し,除痛を得ることができた.病理診断は母指CM関節,手指DIP関節ともにMRHであった.術後2年で母指IP関節の関節破壊が進行し関節固定術を追加したが,母指対立運動は良好に保たれた.【結果】MRH症例における母指CM関節病変に対しては,将来的なIP関節破壊の可能性を考え,関節固定術ではなく関節形成術を選択すべきである.