糖尿病足壊疽の原因として、末梢動脈障害(PAD;peripheral artery disease)の存在が非常に重要なことはよく知られた事実です。PAD は、日本では古くから下肢閉塞性動脈硬化症(ASO;arteriosclerosis obliterans)と呼ばれてきました。これは欧米人に対して、日本人では動脈硬化に伴う下肢血管の閉塞、つまりASO よりも、原因不明の血栓症によって起きる閉塞性血栓性血管炎(TAO;thromboangiitis obliterans、またはバージャー病)の有病率が比較的高く、病態からTAO とASO を区別する必要があったためです。しかし、日本でも生活習慣の欧米化に伴って糖尿病患者数が増加し、ほとんどの下肢動脈閉塞症が動脈硬化を主因とするものになってきたため、近年では欧米諸国にならってPAD と呼ぶようになってきています。足関節血圧−上腕血圧比(ABI;ankle-brachial pressure index)は、そのPAD のスクリーニング法として広く普及している検査法です。