【背景・目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)の疾患感受性遺伝子TNFSF15からコードされるTL1AがPBC患者の血中・肝局所において増加していることを明らかにしてきた.TL1AはアポトーシスやT細胞のIFN-γ産生,Th17分化に関与することが報告されている.今回,PBC肝内のTL1A, DR3陽性細胞の解析とTL1Aが胆管上皮細胞のサイトカイン・ケモカイン産生やアポトーシスに対する影響を検討した.【方法】PBC肝生検組織を用いて免疫組織化学染色とTL1AmRNA定量をおこない,TL1AmRNAと病理スコア(胆管消失,胆管炎,疾患活動性)との関連を検討した.ヒト培養胆管上皮細胞(HIBEC)をTL1Aで処理し,培養上清中サイトカイン,ケモカインを測定した.HIBECのアポトーシスをcaspase-3/7活性測定により検討した.【結果】TL1A陽性細胞は,胆管,血管,浸潤単核球であり,PBC肝浸潤単核球におけるTL1A陽性細胞は主にCD68陽性細胞で傷害胆管の周囲に多く認められた.肝内TL1AmRNAは,PBCの疾患活動性が高い群は低い群と比較し有意に高値であった(P=0.02).PBC肝内のDR3陽性細胞は,主に胆管細胞とCD3陽性浸潤単核球であった.TL1AはHIBECからのケモカイン・サイトカイン産生や抗Fas抗体,TRAIL, CD40リガンドによるHIBECのアポトーシス誘導に顕著な影響を及ぼさなかった.【結論】TL1Aは,直接的に胆管上皮細胞に影響を与えるよりも,Tリンパ球(Th1, Th17細胞)を介しPBCの疾患活動性に関与する可能性が考えられた.