中枢神経系においても末梢組織と同様にTRPC チャネルが分布することは知られてきたが,そのチャネル機能の生理学的・病態生理学的な意義に関する知見は末梢組織に比べて圧倒的に不足してきた.しかし近年,さまざまな神経細胞や,アストロサイト・ミクログリアといったグリア細胞にTRPC チャネルが機能的に発現していることが報告され,それらの細胞機能における生理的な役割が明らかにされつつある.また,TRPC チャネルの遺伝子欠損マウスの表現型解析が進み,同チャネル群が中枢神経系において高次脳機能をfine tuning する役割を担っていることが明らかにされつつある.また最近の研究では,一部のTRPC チャネルが病態時の神経グリア連関に関与することも報告され,創薬標的として重要性も指摘されるようになってきた.本稿では,神経細胞およびグリア細胞に分け,各種脳細胞の細胞機能におけるTRPC チャネルの生理学的および病態生理学的意義を紹介する.