立位CT(computed tomography)の第1 号機が,当院に導入された.立位CT は1972 年にCT が開発された直後から発想されていたが,当時のCT は撮影時間が非常に長く,立位の姿勢で安静を保つことが難しかったため,実現してこなかった.近年,CT の撮影時間が大幅に短縮したため,立位でのCT が実現可能と考え,企業と共同で立位CT を開発した.導入後に,このCT は従来の臥位CT と同等の物理特性を持ち,正確な上下運動により臨床で使用可能な画質を担保できていることを検証した.また,必要な設置面積が従来のCT の2/3 で済み,また,ガントリーに入ればすぐに撮影を開始できるので,X 線撮影のようなワークフローで検査が行えることがわかった.健常人での検討では,これまで脳や骨盤は体位により位置が変化しないとされてきたが,筆者らの検討では,健常人でも立位で下垂していることがわかり,さまざまな人体構造の重力下の状況が少しずつ明らかになってきている.なかでも,静脈の体位による変化が興味深く,変化の仕方が部位より異なることがわかり,今後画像での静脈学を構築する端緒についたと思う.心不全患者を対象に右心カテーテル所見と比較すると,右心房圧と上大静脈径の変化はよい相関を示し,立位CT 画像から,心不全の血行動態がある程度予測可能であることが示唆された.また,静脈弁の描出も明瞭になることも興味深い点である.嚥下・呼吸・排尿・歩行機能などのさまざまな機能の解明と,それに関連する病態の早期発見に有用な所見の検討,さらには加齢性変化も検討しており,健康長寿の時代のニーズに貢献できることをめざしたい.
大動脈瘤や大動脈解離の診断においては画像診断が重要な位置を占めているが,特にCT は確定診断・治療方針の決定,経過観察などにおいて中心的な役割を果たす.近年,多列検出器CT(multidetector row computed tomography ;MDCT)の発達・進歩により高分解能で高速,かつ広範囲の撮影が可能となり,大動脈領域における情報は質・量ともに飛躍的に向上した.最新のMDCT では全大動脈を数秒間で撮影でき,かつスライス厚1mm 以下・等方向性の高分解能データを取得可能であり,任意の方向で多断面断層画像(multiplanar reformation ; MPR)あるいはボリュームレンダリング(volume rendering; VR)による表示を行うことができる.核磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging ;MRI)ではこれまでの非造影心電図同期法,造影磁気共鳴血管画像(MR Angiography ; MRA)に加えて高時間分解能MRA(time resolved MRA)といわれる時間分解能を向上させた撮影技術が加わった.本稿ではCT を中心に大動脈瘤,大動脈解離の画像診断の実際および最近の進歩について述べる.