腎性貧血は慢性腎臓病に高頻度で合併し,貧血を適切に治療することは,CKD患者の余命延長や身体機能の改善につながる.現状のヒトエリスロポエチン(EPO)製剤による治療では,血栓塞栓症などの副作用やESA抵抗性の問題,高額な治療費・注射の必要性など,社会的な負担が大きい.腎性貧血の新規治療薬であるHIF-PH阻害薬は低酸素誘導因子を安定化させることにより内在性のエリスロポエチンの産生を高め,鉄利用を効率化する.これにより,従来のEPOを使用した治療と比較して,腎性貧血に対してより生理的なメカニズムでの治療が見込め,経口薬であることから非侵襲的であり通院間隔をのばすことも可能となるなどの利点がある.一方でHIFの多面的な作用により,留意すべき副作用も存在する.現在5種類のHIF-PH阻害薬が使用可能となっており,これらの薬剤の臨床研究で明らかとなっている知見なども含めて概説する.
糖尿病性腎症は透析導入原疾患の第1 位を占めており,末期腎不全に至った際の患者の予後や生活の質(QOL),医療費を考慮すると,糖尿病性腎症の進展抑制は現代医療において重要な課題となっている.微量アルブミン尿,顕性蛋白尿を認め,徐々に腎機能が低下する典型的な糖尿病性腎症をみるほか,顕性蛋白尿を認めないもののすでに腎機能低下をきたしている糖尿病症例が存在することが明らかになってきた.近年,臨床的に糖尿病がその発症や進展に影響している慢性腎臓病(CKD)を総称して,糖尿病性腎臓病(diabetic kidneydisease:DKD)ととらえる概念が普及してきた.DKD 進展抑制はこれまで血圧・血糖管理などの保存的療法が主であったが,SGLT2 阻害薬,インクレチン関連薬(GLP-1 受容体作動薬,DPP-4 阻害薬),PHD阻害薬,Nrf2 刺激薬,CCR2 阻害薬などの新規薬剤による腎保護効果が報告されてきており,今後の治療の選択肢として期待される.