我々は当院において主に脳血管障害後遺症の症例を中心とした摂食・嚥下リハビリテーション (以下嚥下リハと略す) の導入を試みている. 今回嚥下リハ実施における嚥下機能スクリーニング評価法として水飲み試験の有用性を実証するため, 水飲み試験と videofluorography (以下VFと略す) を施行し, 摂食状況を含めた追跡調査を行い検討を加えた. 対象は脳血管障害後遺症の15例 (男性14例, 女性1例, 平均年齢72.9±2.3歳) であった. 水飲み試験は窪田らの方法を改訂し常温の水10mlを飲ませ, 嚥下障害スコアによりA (障害あり) 群, B (障害疑い) 群に分類した. VFはあらかじめ硬さや味を変えて工夫を加えた食塊にバリウムを混入し, 個々の患者に嚥下しやすい形態を検討することとした. 15例の患者はA群4例, B群11例に分類された. VFを施行しその後の摂食状況を追跡調査した. VF上A群は全例水分を誤嚥し不顕性誤嚥も認められた. B群はトロミをつけた食塊やゼリーの喉頭蓋谷や梨状陥凹での貯留を殆どの症例で認めたが, 明らかな誤嚥や不顕性誤嚥を伴う症例は少なかった. A群はその後嚥下リハによっても全量経口摂取ができず, 経皮内視鏡的胃瘻造設術, 間欠的口腔食道経管栄養法の対象となった. B群では嚥下リハにより食塊や姿勢の工夫, 有効な嚥下方法の検討 (嚥下後の発声や横向き, 複数回, 交互嚥下等) を行うことによって, 全例が全量経口摂取可能となった. なお全例VFによる合併症は生じなかった. ベッドサイドで容易に施行可能な水飲み試験で評価した嚥下機能は信頼性があり, VFは水飲み試験で分類した症例によって食形態や摂食環境を整え, 治療内容の決定, 並びに到達目標を予測検討する上で安全で有益な情報をもたらす検査方法であることが示された.