過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)は,代表的な心身症であり,その発症や経過,増悪に心理社会的背景が密接に関与している。薬物療法のみでは奏効しないこともしばしば経験されるので,IBS 患者の心理特性をつかみ,治療に役立てていく必要があろう。IBS という病名がつくには,医療機関を受診する必要がある。Kanazawa らの報告によると,417 人の一般成人を対象に Rome II 基準で検討したところ14.2%が IBS と診断されたが,そのなかで医療機関を受診したのは 22%に過ぎなかった1)。つまり IBS症状をもちながら,受診する群としない群が存在するわけである。この差はどこから生じるのだろうか。