要旨 【目的】 体温28℃以下の重度偶発性低体温症は心停止で発見されることも多く,多彩な心電図波形変化を来すとともに搬送中に心停止に移行する救助時虚脱(rescue collapse)も発生しうる。これらの心電図波形変化とVA ECMO治療による転帰について検討した。 【対象】 2001年2月~2017年1月にVA ECMOを導入した低温曝露性低体温症34例を対象とし,低温曝露場所,初期心電図波形,rescue collapseの発生,搬入時体温,転帰を後方視的に調査した。 【結果】 34例中2例はbradycardiaの循環不安定であり,23例が心停止で発見され,rescue collapseを9例に認めた。VA ECMO離脱79%,生存68%,神経学的転帰良好59%で,rescue collapseの78%が神経学的転帰良好であった。発見時心停止症例の初期心電図波形別の神経学的転帰良好率はそれぞれVF 57%,PEA 100%,心静止 25%であった。 【結語】 重度低温曝露性低体温症ではrescue collapseを含め,多彩な心電図波形変化を呈するが,心電図波形がPEAや心静止でもVA ECMOを用いて救命されることも多い。rescue collapseを起こしうることを念頭において搬送し,低体温であることを意識した,平温時の心電図評価とは異なる視点での治療が必要と考えられた。
要旨【目的】治療抵抗性心停止に対する経皮的心肺補助(以下,PCPS)の転帰良好な因子として,初期心電図がショック適応心リズム(以下,ショックリズム)と心停止(以下,CA)からPCPS開始までの時間(以下,CA to PCPS)が短いことが挙げられる。しかし,近年ではショック非適応心リズム(以下,非ショックリズム)でも転帰良好な症例が報告されており,院外心原性心停止における初期心電図別のCA to PCPSと1か月後の転帰良好について検討した。【対象】これは単施設,後方視的研究であり,2000年1月から2017年3月に院外心原性心停止症例に対してPCPSを導入した219例(平均58歳,男性193例)を対象とした。【結果】ショックリズム群(167例)と非ショックリズム群(52例)において,転帰良好率は31% vs 10%(p=0.003)であり,CA to PCPSの中央値は44.0分 vs 35.0分(p=0.014)であった。さらにCA to PCPSを5分ごとに区切り転帰良好率を検討すると,ショックリズム群では36~40分で59%であったが,41~45分では33%まで低下しており,非ショックリズム群では40分以降に転帰良好は存在しなかった。【結語】心停止から40分以内のPCPS導入がより転帰良好になると考えられたが,非ショックリズム群ではさらに短縮する必要がある。