関節リウマチ(RA)において,骨破壊の機序を解明する基礎研究は重要である.私たちは,両親が血族結婚で関節破壊が進行する患者を選定,遺伝子解析を行った.関節破壊が進行する家系の患者と健常者の遺伝子を次世代シークエンサー(5500 SOLiDシークエンサー;Life Technologies社)でデータ取得後,以下の条件を満たす遺伝子を抽出した.1)非患者は正常ホモかヘテロをもつ,2)患者は変異ホモをもつ,3)malignantな変異(nonsynonymous SNV, stop gain/loss, frameshift, nonframeshift, スプライシング異常)である,4)1,000人ゲノムプロジェクト,およびエキソームシーケンシングプロジェクト6,500から多型ではない,5)segmental duplication領域ではない.条件を満たす遺伝子は,10遺伝子11か所のみ抽出され,シークエンスによって,患者で変異のあるホモ,健常兄弟でホモあるいはヘテロである6カ所のミスセンス変異を確認した.変異による蛋白構造変化をPolyPhen2プログラムで予測,probably damagingを示すものが存在した.さらに,6カ所のミスセンス変異もつ候補遺伝子の発現をRT-PCRで確認したところ,軟骨細胞,骨芽細胞において,5つの候補遺伝子で発現が確認された.
【背景】マスト細胞はアレルギー性疾患のみならず関節リウマチなどの自己免疫性疾患においても病変部でその数の上昇が報告され,病態への関与が推測されている.しかし,間質性肺炎におけるその役割については詳細な検討がおこなわれておらず,今回特発性肺線維症の肺病理組織検体を用い検討を行った.【方法】特発性肺線維症症例の肺病理組織を用い,免疫組織染色法によりマスト細胞(トリプターゼ陽性)を同定し,マスト細胞の定量および局在について検討を行った.Human mast cell line-1(HMC-1)と肺線維芽細胞を共培養し,肺線維芽細胞におけるα-Smooth muscle actinやTGF-β,VEGFなどの発現をqRT-PCR法を用い,RNAレベルで解析を行った.【結果】マスト細胞の数は著明に増加しており,また線維芽細胞および筋線維芽細胞近位に位置していた.α-Smooth muscle actinやTGF-β,VEGFの発現はRNAレベルで上昇しており,マスト細胞が肺線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化およびサイトカイン産生を促進する可能性が示唆された.【結語】マスト細胞は肺線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化およびpro-fibrotic, anginonenic factorの発現を誘導し,肺線維化促進的に作用する可能性が示唆された.
「ワークショップ選出演題「ワークショップW4-5」抄録は342ページ参照」
マスト細胞は気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患にのみならず,関節リウマチや強皮症などの自己免疫性疾患患者においてその病変部で数の増加が報告され,病態への関与が示唆されている.我々はこれまで滑膜線維芽細胞由来IL-33がマスト細胞の顆粒成熟化や炎症性サイトカイン産生を促進し,関節炎症増悪に作用することを報告した.マスト細胞の生存・増殖には線維芽細胞が発現する膜型SCFが重要とされているが,線維芽細胞はSCF非依存性にマスト細胞の生存を促進する可能性が報告されている.我々はIL-33がマスト細胞顆粒成熟化および活性化に加え,その細胞増殖にも寄与すると仮説をたて検討を行った.マウス骨髄由来マスト細胞をrecombinant IL-33で刺激すると,apoptosis阻害効果を介したマスト細胞のviability上昇をIL-33濃度依存性に確認している.そのメカニズムについて検討を行い,Bcl-XLの発現上昇を介した,apoptosis阻害効果が明らかとなった.しかし,関節炎症急性期を反映するK/BxN血清移入関節炎では,IL-33 receptor KOマウスにおいて滑膜部マスト細胞の有意な数の低下はなく,その関与は明らかではなかった.他のマスト細胞増殖を伴う疾患モデルでの検討が必要である.
Mast cellは関節リウマチ滑膜組織にてその数の増加や,関節液中のmast cell特異的顆粒成分tryptaseおよびhistamineの濃度上昇が報告され,その病態への関与が推測される.我々はこれまでにsynovial fibroblast由来のIL-33がmast cellの顆粒成熟化および炎症性サイトカインの産生を誘導し,関節炎症に促進的に作用することを報告した.さらにわれわれは,in vitroのco-culture experimentでsynovial fibroblast-mast cell間にamplification loopが形成され,Il-33/ST2 receptor pathwayがその形成に寄与することを明らかにした.IL-33 receptor KOマウスにおいて関節炎は軽減し,また炎症関節部においてIL-6, IL-1bおよびIL-33のmRNA発現は有意に低下していた.Mast cellは滑膜組織における主要なST2 receptor発現細胞であり,IL-33/ST2 pathwayはmast cell/fibroblast interactionに作用し,関節炎症促進的に作用することが推測される.IL-33は関節炎症の新規治療のターゲットになりうることが示唆された.