福島県太平洋沿岸において,仙台層群大年寺層中に挟在するテフラ層(101層,133試料)の記載岩石学的性質(粒度組成・粒子組成・重鉱物組成・火山ガラスの形状)を明らかにした.また,火山ガラスのEDSによる化学分析を系統的に行い,98層103試料から1029点の分析結果を得た.これらのデータに基づいて,記載岩石学的特徴及び火山ガラス化学組成(特にK2O量)の層位的変化について検討した.大年寺層に挟在するテフラ層は,細粒ガラス質(中間型ガラス主体)で,普通角閃石を含むものが多い.火山ガラスの化学組成はSiO2量68.8~80.0 wt.%で,K2O量により大きく三分(Low-K,Medium-K,High-K)される.火山ガラスのK2O量については下位から上位へと減少する傾向が2回認められるが,これに対応する記載岩石学的性質の系統的な変化は明瞭には認められない.これについては,K2Oに関して組成累帯したマグマ溜りの上から順に,マグマが噴出した結果である可能性が考えられる.また,重鉱物組成で黒雲母を含むテフラ層が6 層確認され,その火山ガラスのK2O 量はHigh-K領域にプロットされ,その他多数のテフラとは明確に区別される.これらのテフラ層は,中部山岳地域を給源とする広域テフラ層の可能性がある.