本シンポジウムは,学習指導要領の改訂に伴って,来年度からスタートする公民科「倫理」の中に,心理学の内容が従前以上に導入されることにあわせて行う企画である。シンポジウムでは,従来の公民科「倫理」の問題点を踏まえて,今後の新たな「倫理」教育に向けて,心理学者と哲学者が連携し,高校教員や高校生に向けて発信するための課題について対話することを目的とする。話題提供では,楠見が,企画趣旨とともに,公民科「倫理」の中に,導入された心理学の新たな内容とその背景,今後の期待と現状の課題について述べる。唐沢は,「倫理」教育において心理学を教える意義と課題,哲学・倫理学と心理学が連携する重要性について述べる。直江は,哲学・倫理学の立場から,「倫理」の教育において科学としての心理学がはたす役割への期待について述べる。河野は,授業方法としての哲学対話が「倫理」の内容の理解と思考の深まりにいかなる影響を与えるかについて論じる。そして,指定討論者として,和田が, 心理学分野が教育課程とともにどのように変遷してきたかを振り返りつつ,公民科教育の実践を踏まえて,それぞれの話題提供に即して今後の課題を整理する。最後に,登壇者相互の対話をおこないたい。
この20年近く,日本心理学会(日心)は高校生に対する心理学教育の可能性を検討し,夏休みには高校生に向けた講座などを実施してきた。すでに,初等中等教育の教科によっては心理学的な内容が含まれているが,児童生徒はそれらを心理学とは認識していないと思われる。あらためて,心理学を組織的・体系的に取り扱い,人間理解や学習・生活の改善に生かしてほしい,また,大学等に向けて進路選択の一助としてほしいというのが意図であった。そして今,2つの大きな動きがある。一つは,日心としてインターネット上に心理学に関するコンテンツを充実させていこうという流れである。たとえば,大学生や一般社会人向けの解説「心理学ミュージアム」や,高校生講座のオンデマンド化がある。それらと連携協力する形で,高校生や高校教員が利用しやすいものにする方向性が考えられる。また,もう一つは,学習指導要領の改訂に伴って2022年から実施される高校の教育課程では,公民科の中の公共と倫理に,心理学的な内容がはいるようになったことである。これを機に,高校の各教科の中での心理学導入をさらに考えたい。本シンポジウムでは,「高校心理学教育小委員会」の委員である市川,楠見,池田に加えて,日心のコンテンツ充実の視点から大久保街亜氏,公民科を担当する高校教員の視点から村野光則氏に指定討論をお願いした。今後,心理学(者)は何をするのかを議論していきたい。
1 「教えて考えさせる授業」設計と展開のポイント(「教えて考えさせる授業」とその展開状況;「教えて考えさせる授業」づくりの工夫と注意;学び方と学習観を育てる「教えて考えさせる授業」 ほか) 2 教科別授業プラン(算数/2年 分数—「半分の半分」を分数で表す;算数/4年 直方体と立方体—立方体になる展開図について考えよう;算数/5年 平均とその利用—部分の平均から、全体の平均を求めるには ほか) 3 実践校の取組レポート(“北海道”室蘭市立八丁平小学校—教師による的確な説明と理解確認の工夫;“東京都”品川区立第二延山小学校—自立した学習者の育成;“沖縄県”うるま市立宮森小学校—「教えて考えさせる授業」で国語・算数の学力向上を実現 ほか)