◎活性酸素(ROS)は,生体内のエネルギー代謝や感染防御過程において発生する一連の反応性分子種(O2-やH2O2など)である.これまでROS はその反応性の高さから,細胞内の生体分子(核酸や蛋白質,脂質など)を酸化して傷害し,感染・炎症などさまざまな疾病の病因となる毒性分子であると考えられてきた.しかし近年,われわれの体はROS を生理的シグナルとして巧妙に利用しており,ROS あるいはROS シグナルの下流で二次的に生成される親電子物質による生体分子の化学修飾は単なる病態の増悪因子ではなく,酸化ストレス応答などの生体反応をつかさどるシグナル(レドックスシグナル)として,生理機能を発揮することがわかってきた.著者らは感染・炎症,酸化ストレスにおけるシグナル伝達機構について解析を進めるなかで,ROS と一酸化窒素(NO)の下流シグナル分子である8-ニトログアノシン3´,5´ -環状1 リン酸(8-ニトロ-cGMP)を介した新規のシグナル伝達機構を見出した.さらに近年,システインパースルフィドなどの活性イオウ分子種がROS,NO のシグナルを制御する新規抗酸化因子として生体内で機能していることが明らかとなり,感染,炎症をはじめ酸化ストレスがかかわる病態の解明に向けてその役割が注目されている.