【背景】皮膚筋炎において悪性腫瘍は間質性肺炎と並ぶ代表的な合併症であり,予後を規定する因子である.抗TIF1抗体は悪性腫瘍と関連する自己抗体として知られているが,抗TIF1抗体陽性患者において悪性腫瘍と関連する因子については明らかではない.【目的】抗TIF1抗体陽性皮膚筋炎患者における悪性腫瘍関連因子について検討する.【方法】2001年から2013年までの12年間に当科で経験した抗TIF1抗体陽性成人皮膚筋炎患者24例を対象とし,悪性腫瘍と関連する因子について検討した.【結果】悪性腫瘍の合併は24例中15例(63%)でみられた.平均発症年齢は悪性腫瘍合併群が66±13歳,非合併群が54±14歳で悪性腫瘍合併群の方が高齢発症だった(P=0.02).多変量解析では,悪性腫瘍と関連する独立した因子として,男性(オッズ比=6.1e+7,95%信頼区間 2.0-uncalculated,P=0.0171)と血清CK値583以上(オッズ比=1.7e+8,95%信頼区間3.8-uncalculated,P=0.0053)が見出された.24例の5年生存率は全体で67%であり,悪性腫瘍合併群では非合併群に比べ5年生存率は低下していた(47%vs100%,P=0.0116).【結論】抗TIF1抗体陽性成人皮膚筋炎患者では,男性とCK値583以上が悪性腫瘍と関連する因子であると考えられた.
【背景】強皮症腎クリーゼは抗RNAポリメラーゼIII(RNAPIII)抗体と強い相関があるが,抗RNAPIII抗体陽性患者における腎クリーゼ関連因子については明らかではない.【目的】抗RNAPIII抗体陽性全身性強皮症患者について,腎クリーゼと関連する因子について検討した.【方法】全身性強皮症患者583例について,抗RNAPIII抗体の有無をELISA法によりスクリーニングした.抗RNAPIII抗体が陽性だった症例について,RNAPのサブセットを免疫沈降法により検討した.次いで腎クリーゼと関連する因子について,多変量解析により検討した.【結果】ELISA法では37例が抗RNAPIII抗体陽性だった.免疫沈降法により,19例が抗RNAPI/III抗体陽性,17例が抗RNAP I/II/III抗体陽性,1例が抗RNAPIII抗体単独陽性だった.腎クリーゼは,抗RNAPIII抗体陽性群(37例中9例,24%)では陰性群(546例中8例,1%)に比べ有意に高頻度だった(P<0.00001).多変量解析では,抗RNAPII抗体陽性(P=0.0118)と抗RNAPIII抗体のELISA index 157以上(P=0.0093)が腎クリーゼと関連する独立した因子だった.【結語】抗RNAPII抗体の共存と抗RNAPIII抗体のELISA index高値は,抗RNAPIII抗体陽性全身性強皮症患者において,腎クリーゼと関連する因子と考えられた.
【背景】B細胞は抗体産生以外に多彩な機能を有しているが,近年,炎症をコントロールする制御性B細胞に注目が集まっている.しかし,肺線維化における制御性B細胞の役割は明らかではない.【目的】ブレオマイシン誘発肺臓炎モデルを用いて,肺線維化における制御性B細胞を含めたB細胞の役割を検討した.【方法と結果】B細胞を除去する抗CD20抗体を事前に投与してB細胞を除去したマウスにブレオマイシンを投与したところ,コントロール抗体を投与したマウスに比べ肺の線維化は増悪していた.一方,ブレオマイシンを投与した3日後の炎症期に抗CD20抗体を投与したマウスでは,コントロール抗体を投与したマウスに比べ肺線維化が軽減した.遺伝的にB細胞を欠損したマウスにブレオマイシンを投与したところ,野生型マウスに比べ肺の線維化は増悪したが,事前に野生型マウスの制御性B細胞(B220+CD5+CD1dhigh B細胞)を移入することで,増悪した肺の線維化は野生型マウスと同程度まで軽減した.一方,非制御性B細胞(B220+CD5lowCD1d− B細胞)を移入しても肺の線維化は抑制されなかった.【結語】肺の線維化においてB細胞の役割には2面性があり,発症期では主に制御性B細胞が炎症をコントロールする一方,炎症期ではB細胞は炎症を促進する役割を有していることが示唆された.これらの知見は,肺線維化の新たな治療戦略を考える上で有益であると考えられた.