睡眠時無呼吸症候群 (SAS) は睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる疾患である。また本疾患は、不整脈を併発することが多い。SAS は自覚症状があまりないため、気付かないうちに日常生活で様々な重大事故を起こす可能性がある。現在、様々な小型計測器が販売されていて在宅計測も可能になっているが、ほとんどは単一の生体量だけを計測している。SAS では無呼吸とともに不整脈を併発することが多いので、呼吸と心拍の同時計測ができる簡易な計測装置の開発が望まれている。 このため本研究では、早い段階で SAS を発見し、治療を始めるために、体導音センサを用いた在宅型SASの検知システムを開発する。本システムでは、体導音センサで呼吸と心拍を同時計測し、データを分析して無呼吸や不整脈を検知して、早期に SAS を発見するシステムを開発して検証実験をした。
近年,我が国では高齢化が進行しており,高齢社会白書によると2015年の高齢者人口は過去最高の3,392万人にも上る。彼らの中には介護を必要としている人が多いが,介護福祉士登録者数は118万人であり,介護者の不足から介護士1人当たりの負担が増加している。そこで,我々は介護士の負担を軽減するため,食事支援ロボットを提案している。しかし,ロボットだけでは使用者が安全な状態であるかが不明である。この問題を解決するため,本研究では、ロボットを使用している際に,誤嚥や転倒といった使用者の危険状態を検出し,介護者に通報するシステムを提案する。また従来法として,監視カメラを設置して危険状態を検出する方法が提案されている。しかし,監視カメラはプライバシーの観点から,個人の生活空間に設置することが困難である。そのため,提案するシステムでは危険な状態の検出を,Androidスマートフォンに搭載された加速度センサを用いて行う。このことから、提案システムにより危険な状態を検出したら,すぐに対応できるようになる。本論文では提案システムの認識率について実験を行い,その有効性を検証した。
ウイルス性心筋炎に対するステロイド治療の是非に関して見解は定まっていない.最近の報告では副腎皮質ステロイドはグルココルチコイド受容体を介して心筋保護的に作用することが報告されている.そこでマウスウイルス性心筋炎モデルを用いてdexamethasoneの効果を詳細に検討した.3週令♂A/Jマウスにcoxsackievirus B3 (CVB3) 2×104 PFUを腹腔内投与し心筋炎を作成した.CVB3のみを投与した群(CVB3群),dexamethasone 0.15 ml/日を5日間投与した後,6日目にCVB3を投与した群(DEX-pre/CVB3群),CVB3を投与した後,dexamethasone 0.15 ml/日を5日間投与した群(DEX-post/CVB3群)の3群を作成した.14日後にマウスの心筋を採取し,左室内径,壁厚,ウイルス力価(TCID50)を測定し,それぞれ3群間を比較した.またCOX-2阻害実験として,NS-398のみを投与した群,NS-398とCVB3を投与した群(NS-398/CVB3),CVB3のみを投与した群,NS-398とCVB3を接種しdexamethasone連日投与した群(NS-398/DEX-pre/CVB3 & NS-398/DEX-post/CVB3)の生存分析を行った.CVB3群は,左室内径の拡張と壁厚の減少,ウイルス力価の上昇を認めたが,DEX-pre/CVB3, DEX-post/CVB3群においてはその変化は有意に抑制されていた.NS-398を用いた阻害実験ではウイルス接種と共にNS-398を使用した群の方が全例とも超早期に死亡したがdexamethasoneの早期投与により生存率を有意に改善した.以上より,マウスウイルス性心筋炎においてdexamethasone早期投与はウイルス性心筋炎の治療に有効であり,その一因としてCOX-2が心筋保護的に作用している可能性が示唆された.