要旨【目的】本邦では,外傷手術研修は必要であるにもかかわらず,重症外傷患者数の減少や保存的療法の発展によって,on–the–job研修は困難になっている。それ故に,我々は,献体による1日間の臨床解剖学的研究会が,外傷手術研修に有用であるかを検討した。【対象】2013年1月から2014年3月までに行った11回の研究会を対象とした。受講者には,研究会の受講前・受講直後・半年後にアンケートを行い,21項目の手術手技に対して0–10点の自己習熟度評価(self–assessment of confidence levels: SACL)を行い,その変化を評価した。ペアt–検定でp<0.0167を有意差ありとした。【結果】全135名が研究会を受講し,臨床経験などによって各回3グループに分かれて研修した。全21手技に対するSACLは,受講前に比べて受講直後に有意に増加したが,受講直後に比べて半年後に有意に減少した。しかし,救命救急センター所属の上級者と中級者グループ受講生では,半年後も受講直後レベルに維持されていた。【結語】献体による外傷手術研修を受講することで,すべての受講生は受講直後に手技に対する自信を高めていた。この自信効果は,半年後でも,手技を実践し得る救命救急センターに所属する者では維持されていた。手技を実践する,または研修に繰り返し参加することが,外傷手術手技の維持に効果的であることが示唆された。