食道穿孔は診療の現場で遭遇する頻度はまれであるが,成因は多岐にわたる.縦隔は疎な組織であるため,食道に穿孔が生じると頸部・胸部・腹部に炎症が波及し縦隔炎をきたし,膿胸・敗血症を併発しやすい.治療手技は容易でなく,適切な診断・治療が早期に行われないと重篤な経過を急速にたどる.そのため,迅速で的確な診断と,症例に応じた最適な治療法の選択が重要である.
進行直腸癌に対する術前化学放射線治療(CRT)は欧米では標準治療であるが,近年では本邦においても導入する施設が増えている.術前CRT のメリットは直腸癌の局所制御率と肛門温存率の向上とされる一方で,術後の腸管肛門機能の低下が懸念されている.特に下部直腸癌に対する括約筋間直腸切除術では放射線治療の影響が術後の肛門機能を大きく低下させる可能性があり,個々の患者の状態にあった集学的治療を十分検討することが重要である.