新型コロナウィルス感染症の蔓延は,我々の身体・社会・経済に打撃を与え,心理的にも大きな影響を及ぼしている。心理的サポートの必要性が高まる一方で対人接触の回避が求められる状況において,自治体等ではSNSを用いたカウンセリングが活用されてきた。本研究ではコロナ下のSNS相談の実態を明らかにすることを目的に,大阪府が開設した新型コロナ向けSNS心理相談窓口のログ(2020年5月~11月実施分)の匿名化後のデータ提供を受け,機械学習と臨床的視点を合わせる学際的方法を用いて分析を行った。まず,機械的にトピックを抽出する方法であるトピックモデルを用いて,コロナ以前のデータと合わせて相談ログのトピックを抽出した。その結果,「感染しているのでは」という【コロナ症状不安】のトピックは感染者の増減とパラレルな変動をみせたのに対して,「もし感染したら」といった心理的な不安が含まれる【コロナ関連不安】は3ヶ月ほどで一定の落ち着きを見せ,その後減少する傾向がみられた。これは震災後の心理的不安の収まりとも一致した動きであり,災害などの社会的危機における心理反応をマクロな視点から理解する一助となる結果と考えられた。
新型コロナウィルスは人々にとって身体的脅威となるだけでなく,心理的にも大きな影響をもたらす。その影響は何かしらの心理的脆弱性を抱えた人の方が大きいとも考えられ,支援が必要である。近年急速な広まりを見せるSNSを用いたカウンセリングは,感染リスクを最小化しつつ幅広い層にリーチ可能である。本研究では,大阪府開設の新型コロナ向けのSNS心理相談窓口の匿名化後のログデータ(2020年5月~11月実施分)の提供を受け,機械学習と臨床的分析を合わせる学際的方法で,コロナ下のSNS相談の実態を明らかにすることを目的とした。まず,機械的にトピックを抽出する方法であるトピックモデルを用いて,コロナ以前のデータと合わせて各セッションのトピックを抽出した。本研究では特に,上記期間に10回以上アクセスした11名のトピックの時系列的変遷を可視化した。それを各事例の臨床的分析と合わせて解釈し,3つの類型を見出した。1)コロナへの不安を入り口にして個人の問題に展開する事例,2)コロナへの不安の相談を続ける事例,3)初めからコロナ非関連の個人の問題を相談する事例があり,各類型の臨床的意義と対面相談との異同を考察した。