◎がんは,生体のホメオスタシス維持に必須である免疫抑制機構を巧妙に用いて,がん免疫応答を不活化している.CTLA-4 やPD-1 などの免疫抑制シグナル(免疫チェックポイント)を抗体薬で阻害するとがん免疫応答が再活性化され,治療効果が得られることがわかってきた.わが国で開発が進められた抗PD-1 抗体のニボルマブは,しばしば治療終了後も継続する持続的な抗腫瘍効果と優れた安全性を有し,固形癌のみならず血液悪性腫瘍などの幅広いがん治療を変えようとしている.とりわけ悪性黒色腫,肺癌では標準治療に比べ生存期間の延長が示され,腎癌での有効性も明らかになりつつある.また,がん細胞のゲノム不安定により生じた変異部(neo-antigen)に対するT 細胞応答が治療奏効の鍵であることが明らかとなり,腫瘍におけるPD-1 リガンドの発現やミスマッチ修復状態がバイオマーカーの候補として報告されている.ニボルマブが適切に使用され多くの患者の福音となるとともに,今後もわが国発の新規治療が発信されることを期待している.
多くの腫瘍抗原が自己抗原由来であることから,がんに対する免疫応答を十分に活性化するには,共刺激分子(co-stimulatory molecule)を介した共刺激が重要であると考えられる.共刺激分子の負の制御分子であるCTLA-4 のシグナルを抗CTLA-4抗体でブロックすることと,CD4+CD25+ 制御性T細胞抑制機能をブロックすることが報告されているGITR シグナルを抗GITR 抗体で活性化することを併用することで,質的・量的に抗腫瘍活性の増強が認められ,単独では認められない強い抗腫瘍効果が誘導され,今後の臨床応用が期待された.