耳下腺腫瘍手術, 特に良性腫瘍に対する手術では, 確実な顔面神経の温存が望まれる. 耳下腺腫瘍の多くを占める浅葉腫瘍では, 浅葉部分切除術が基本術式となる. 本術式における神経温存に当たって, まず顔面神経主幹を同定することが最初のステップである. 神経同定を安全, 確実に行うには, 正確な術前診断, 臨床解剖の熟知, および頭頸部腫瘍手術に対する基本手術手技の習得が必要である. 神経刺激装置・神経モニタリング機器を神経同定に活用することはよいが, それに頼らないと手術ができないのでは困る. 顔面神経主幹を安全・確実に同定するポイントとして, 1) 皮膚切開に対応した広い術野を得ること, 2) 筋膜に沿った正しい層で剥離を進めていくこと, 3) 顔面神経主幹を見つける指標となる, ポインター軟骨, 乳様突起, 顎二腹筋後腹を確実に剖出すること, 4) 主幹の直前に走行する茎乳突孔動脈を確実に結紮すること, 5) 神経刺激装置・神経モニタリング機器を適切に使用すること, 6) 電気メス等の機器を活用して, 極力出血させずきれいな術野を得ること, 7) 主幹同定後神経を愛護的に扱うことなどが挙げられる. われわれは良性耳下腺腫瘍996例 (再発腫瘍を除く) に対して本術式を施行し, 一時的顔面神経麻痺を来したのは198例 (19.9%) であった. その回復までの期間は2カ月で50%, 6カ月で90%, 12カ月で100%であった.
耳下腺腫瘍手術, 特に良性腫瘍に対する手術では, 確実な顔面神経の温存が望まれる. 耳下腺腫瘍の多くを占める浅葉腫瘍では, 浅葉部分切除術が基本術式となる. 本術式における神経温存にあたって, まず顔面神経主幹を同定することが最初のステップである. 神経同定を安全, 確実に行うには, 臨床解剖を熟知するとともに, 頭頸部腫瘍手術に対する基本手術手技を習得する必要がある. 神経刺激装置・神経モニタリング機器を神経同定に活用することはよいが, それに頼らないと手術ができないのでは困る. 顔面神経主幹を安全・確実に同定するポイントとして, 1) 皮膚切開に対応した広い術野を得ること, 2) 筋膜に沿った正しい層で剥離を進めていくこと, 3) 顔面神経主幹を見つける指標となる, ポインター軟骨, 乳様突起, 顎二腹筋後腹を確実に剖出すること, 4) 主幹の直前に走行する茎乳突孔動脈を確実に結紮すること, 5) 電気メス等の機器を活用して, 極力出血させずきれいな術野を得ること, 6) 同定後神経を愛護的に扱うことなどが挙げられる. われわれは良性耳下腺腫瘍773例 (再発腫瘍を除く) に対して本術式を施行し, 一時的顔面神経麻痺を来したのは161例 (21%) であった. その回復までの期間は2カ月で50%, 6カ月で90%, 12カ月で100%であった.