本研究は,後説明効果の生起を検証した。存在が曖昧なものが実際に存在しているという認識(実在性認知)に焦点を当て,説明が説明対象に関する認知に及ぼす再帰的な影響を検証した。加えて,後説明効果の大きさに関わると考えられる変数を明らかにするため,説明に対する自己評価を高く感じるほど,説明対象の実在性認知が高まるという仮説についても検証した。二つの研究において,参加者は,新奇な商品の使用目的や開発の経緯を想像した上で説明し,説明の前後でその商品の実在性を評定した。分析の結果,研究1では,立方体のサッカーボールについて説明した参加者は,説明の前より後で,その実在性を高く評定したことが明らかになった。また,研究2では,説明に対する自己評価のうち,説明内容のもっともらしさが,実在性認知の上昇と関連することが明らかになった。本研究で得られた結果から,後説明効果の生起の背後に想定される認知過程について考察した。
近年の研究で援助者が被援助者だけでなく第三者からも批判される可能性が示唆されている。そこで本研究では,援助行動にかかるコストとして金銭,危険,努力,時間の4つを想定し,印象低下理由として規範逸脱,利己的動機,非必然性,心的負担の4つを想定した。コストを独立変数とした上でそれぞれのコストが通常のシナリオと過剰なシナリオを作成し,場面想定法によって援助者の印象及び印象低下の理由について検討した。その結果,金銭,危険,努力の3条件において通常シナリオの援助者よりも過剰シナリオの援助者の印象が低かった。また,印象低下理由として金銭条件,危険条件では規範逸脱の影響のみが大きく,努力条件,時間条件では規範逸脱と非必然性の影響が大きかった。