64歳女性.2014年1月から肘や膝に落屑を伴う紅斑出現,4月から進行する労作時呼吸苦が出現したため精査目的で入院となった.筋痛・筋力低下は認めなかったが,ゴットロン丘疹や手指先端指腹の裂溝を伴う角質化,爪周囲紅斑,毛細血管拡張などの特徴的な皮膚所見およびCTにて両側肺底部から拡がるスリガラス病変を認めamyopathic dermatomyositis(ADM)と診断.急速進行性間質性肺炎を伴うADMに対してステロイド大量,シクロフォスファミドパルス,タクロリムスの3剤併用により救命し得た.一方,入院時施行した爪郭ビデオ顕微鏡(Nailfold Videocapillaroscopy: NVC)検査では強皮症の晩期所見(Loss of capillary,Disorganization of the vascular array,Capillary ramification)を示す指と正常な指が混在していた.強皮症はレイノー症状を特徴としほぼすべての指で特徴的なNVCの異常所見を認め病期を正確に評価できる.一方で皮膚筋炎の手指に特徴的な所見として手指先端指腹の裂溝を伴う角質化や爪周囲紅斑,毛細血管拡張が挙げられる.本症例もそれらの皮膚所見を認め,NVCでは全く正常な所見と進行した異常所見が混在していた.慢性的な血管内皮の増殖や線維化を主体とする強皮症と,リンパ球やマクロファージ浸潤による炎症性の皮膚所見の違いがNVC所見の違いとして現れている可能性がある.本邦ではNVCが導入されていないがこのような所見からNVCが皮膚筋炎診断の一助になりうる.
【目的】炎症性疾患である強皮症や皮膚筋炎は皮下異所性石灰化を合併するが,石灰化部位の骨芽細胞分化マーカーであるRUNX2 mRNA発現が報告されている.そこで,炎症性サイトカインによるヒト皮下脂肪組織中多能性幹細胞(hADSC)を介した石灰化の可能性について検討を行った.【方法】炎症性サイトカイン(IL-6/sIL-6R,TNFα,IL-1β)存在下でhADSCを骨芽細胞分化誘導培地で培養し,骨芽細胞分化と石灰化について評価した.【結果】IL-6/sIL-6R,TNFα,IL-1βの添加により濃度依存性に石灰化増強とRUNX2 mRNA発現増強作用を認め,IL-6/sIL-6Rで最も強かった.IL-6/IL-6R添加では,骨芽細胞分化に重要であるWNT canonical pathwayに必須であるβ catenin発現量に変化はなく,WNT non-canonical pathwayであるROR2 mRNA発現増強を認めた.RUNX2とROR2のmRNA発現及び石灰化促進作用は,siRNAによるStat1発現抑制では変化ないが,Stat3発現抑制により抑制された.異所性石灰化患者検体でIL-6産生細胞とRUNX2発現細胞が確認された.【考察】皮下異所性石灰化ではIL-6によるhADSCの骨芽細胞様の分化機序を介した石灰化機構が関与する可能性が示唆され,IL-6阻害による新規治療戦略が期待された.
【目的】TNF阻害療法とIL-6R阻害療法を施行した関節リウマチ(RA)患者において,MBDA(multi-biomarker disease activity)scoreで用いる12バイオマーカーの挙動の違いを明らかにする.【方法】当科でRAに対しTNF阻害薬(ADA, ETN, IFX)またはIL-6R阻害療法(TCZ)を1年継続したそれぞれ147,52例を対象とし,0,24,52週において,MBDA scoreに用いる12バイオマーカー(VCAM-1, EGF, VEGF-A, IL-6, TNF-RI, YKL-40, MMP-1, MMP-3, leptin, resistin, SAA, CRP)をECLアッセイで測定した.またDAS28ESR, SDAI, HAQ, mTSSを評価した.【成績】TNF群,TCZ群の投与前背景(平均値)はそれぞれ,年齢58,56歳,性別(%女性)84,86%,罹病期間107,148月,Stage I+II 63,45%,MTX 7.8,5.7mg/wで,罹病期間,Stage早期,MTX投与量で差があった.0週に対する24,52週のバイオマーカー濃度では,TNF群ではすべてが低下したのに対し,TCZ群ではIL-6のみが24,52週それぞれ25%,29%上昇し,その他はいずれも低下した.またCRP, SAA, MMP1, YKL-40ではTCZ群でTNF群と比べ有意に低下率が大きかった.MBDA scoreはいずれも治療後低下し,両群で既存のcomposite measureおよび関節破壊を反映した.【結論】関節リウマチに対する分子標的治療において,標的分子により個々のバイオマーカーの挙動が異なるが,MBDAは標的分子(TNF, IL-6R)によらず疾患活動性を反映することが示された.