【目的】関節リウマチ(RA)は,T細胞-B細胞の機能的連関を介した免疫異常と関節滑膜における炎症病態の遷延化による複合病態を形成するが,治療標的や治療抵抗性に関わる細胞群は明らかでない.【方法】健常人19名,biologic DMARD未使用RA患者74例のbiologic DMARD投与前および投与24週後に末梢血単核球を採取し,8 color flow cytometryを用いてT細胞・B細胞の表現型および患者背景との関連性を検討した.【結果】活動期RA患者末梢血では,effector T細胞(Tem)の割合が有意に増加した.さらに,effector B細胞とplasmablastがCRP・ESR・MMP-3等の炎症所見と正に相関した.Abatacept(CTLA4-Ig)投与24週後,Tfh,Th1,Th17で構成されるTemの割合が有意に減少し,naive T細胞の割合が増加した.一方,TNF阻害剤投与24週後では,naive T細胞の割合が減少し,Th17,Temの割合が増加,B細胞ではIgM memory B細胞が増加した.Treg細胞の割合は両群とも減少した.【考察】活動期RAに対するCTLA4-Ig及びTNF阻害薬はいずれも疾患活動性を改善させたが,T細胞-B細胞の分化異常には相反する変化を与えていた.すなわち,RAの病態では炎症制御に依存しないT細胞"B細胞による免疫異常が存在する可能性が示唆された.
症例は66歳女性.2006年腎障害,上気道症状(鼻閉,鼻出血),胸部浸潤影,PR3-ANCA高値よりGPAと診断.PSL投与されるも効果なく,シクロホスファミドパルス6コースを施行され改善.2012年4月よりアザチオプリン併用下でPSL 4 mgまで漸減された.しかし2013年1月,CRP及びPR3-ANCA上昇を認め,ミゾリビン150 mgが追加されたが改善なく,鼻閉・鼻出血の再燃,急激な胸部浸潤影の増大を来したためGPAの再燃と診断した.疾患活動性が高く,重要臓器障害合併を認めるGPAに対しステロイド大量療法(PSL 60 mg)を再開した.しかし,既存治療抵抗例で,かつフローサイトメトリーにてメモリーB細胞の増加と活性化が確認されたことから,RTX(500 mg/weekly)を導入した.RTX 3回投与後,胸部浸潤影および副鼻腔病変は劇的に改善,PR3-ANCAは陰性化,約1カ月でPSL 30 mgまで漸減し得た.以上,RTXは既存治療抵抗性のGPAに対する有効な治療法であり,治療前のリンパ球活性化の評価が治療選択に有用である可能性が考えられた.
症例は63歳女性.2012年11月に腰背部痛を自覚し,近医整形外科を受診.MRIにて胸椎Th9~Th11周囲の軟部腫瘤を認めた.PETにて腫瘤への集積を認めるとともに多椎体炎,仙腸関節炎を認め,診断確定目的に3月当科紹介入院となった.レントゲンにてbamboo spine形成,仙腸関節の骨硬化像,PETにて多椎体炎,仙腸関節炎,脊椎骨強直を認め,強直性脊椎炎(AS)と診断した.同時にIgG4 235 mg/dlを認め,IgG4関連疾患(RD)による炎症性偽腫瘍が疑われた.傍胸椎腫瘤に対する胸腔鏡下肺生検にてIgG4/IgG比50%以上のIgG4陽性形質細胞浸潤を認め,IgG4RDと診断した.その後,掌蹠膿疱症を発症し,SAPHO症候群およびIgG4-RDと診断した.腫瘤は増大傾向となり,2013年7月,SAPHO症候群,AS,IgG4RDに対しメトトレキサートおよびインフリキシマブを導入した.IgG4RDにおいては肺内の炎症性偽腫瘍や後腹膜線維症が一般的で,傍胸椎腫瘍は稀である.また,SAPHO症候群や強直性脊椎炎にIgG4関連疾患が合併した報告はない.さらに,IgG4関連疾患に対するTNF阻害剤の効果は未知で,IgG4関連疾患の病態,治療法を考察する上で啓蒙的な症例と考えられる.その後の治療経過を含め報告する.