Malignant gastric outlet obstruction(malignant GOO)を認める胃・十二指腸癌非切除例に対する内視鏡的自己拡張型金属ステント(self-expandable metalstent:SEMS)留置術(内視鏡的SEMS 留置術)は,生命予後2 ヵ月以内と推測できる,全身状態が不良な患者に対する有用な緩和治療として広く行われている.しかし,術後再建腸管領域の癌再発による狭窄・閉塞病態に対する内視鏡的SEMS 留置術では,手技の難易度が一気に上がり,その内容も確立されていない.本稿では,術後再建腸管の輸入脚領域の癌再発による狭窄・閉塞に対して,われわれが行っている2-step 法による内視鏡的SEMS 留置術(輸入脚にイレウス管留置・減圧→二期的に内視鏡的SEMS 留置)の実際を中心に概説した.
Borderline resectable(BR)膵癌は,外科切除を施行しても癌が遺残し予後不良となる可能性がある.そこでさまざまな術前補助化学(放射線)療法が導入され,術前療法導入によるR0 切除率の向上や予後の改善が報告されてきた.大規模なランダム化比較試験に基づいた術前補助療法のエビデンスはいまだ確立されていないが,術前化学療法と術前化学放射線療法のランダム化比較試験を含めたさまざまな試験が進行中で,結果の報告がまたれる.
良性の門脈狭窄は肝胆膵外科領域の手術のまれな術後合併症であるが,狭窄が高度な症例では消化管出血など致命的な合併症を引き起こす.術後の癒着により門脈狭窄部への直接のアプローチは困難である場合が多く,門脈ステント留置術のよい適応である.経皮経肝的なアプローチが困難であり,手術室での小開腹下経回結腸静脈アプローチを行う必要がある場合は,ハイブリッドアンギオ室での高解像度digital subtraction angiography(DSA)画像が手技の完遂に有用な可能性がある.
診断時に切除可能な浸潤性膵管癌はおよそ2 〜3 割とされ,多くは切除不能(UR)ないし切除可能境界(BR)膵癌として発見される.しかし,BRないし局所進行性切除不能(LA─UR)膵癌に対して術前療法を施行後に切除する試みが,化学療法の発達とともに盛んに行われるようになり,臨床試験が本邦でも行われている.術前療法はgemcitabine+nab-paclitaxelあるいはgemcitabine+ S─1 の組み合わせによる化学療法や化学放射線療法によるものが多い.術前治療の導入により,BR膵癌に対する切除断端の陰性化や,LA─UR 膵癌を切除するconversiontherapy が可能となり,膵癌全体の切除可能性が広がった.しかし,長期予後に関する上乗せ効果についてはさらに多くのエビデンスの集積が必要である.