糞便微生物移植法(FMT)とは,多様性が低下した患者の腸内細菌叢を健常人の腸内細菌叢に置換する治療法である.その原型は4 世紀ごろには試みられており,長い歴史を有する治療法であるが,近年の基礎医学的な研究の進展に伴って急速に普及が進み,あらたな展開が模索されつつある治療法となっている.本法は致死性の疾患であるClostridium difficile 感染症の治療において,劇的な治療効果を発揮した.現在は,過敏性腸症候群などの機能性疾患への治療応用や,自閉症やうつ病・糖尿病などの消化管疾患以外への治療応用が模索されている.さらに,安全性・簡便性を向上させるために,健常人の糞便を集めた糞便バンクの開発や,カプセル化した細菌カクテルの開発など,さまざまな試みが進められており,今後の発展が期待されている治療法である.
◎潰瘍性大腸炎(UC)患者の診療において内視鏡の役割は重要である.約80 倍の観察が可能な拡大内視鏡のUC 診断に対する有用性として,正確な炎症の判定と,それによって長期予後を予測できるという報告が散見されている.また,炎症に関連する癌・非癌の判別に有用である可能性が示唆されている.顕微鏡レベルの観察が可能な超拡大内視鏡にはconfocal laser endomicroscopy(CLE)とendocytoscopy system(ECS)があり,超拡大観察所見と病理所見との相関が報告されている.大腸カプセル内視鏡(CCE)は2006 年に,はじめて報告され,CCE によるUC の炎症度判定の可能性も報告されている.本稿では,新規内視鏡の有用性,可能性について概説する.